お正月飾りの代表格とも言える門松。関東ではすでに片付けられていても、関西ではまだ飾られていたりします。なぜこのような違いが出てくるのでしょうか、毎年500組ほどの門松を全国に販売している会社の担当者に、その理由を聞きます。
「そもそも門松は新しい年がきたことを告げる年神様が、道に迷わないように飾るものです。唐の時代の中国で、家の門の前に長寿を象徴する松を飾ったことが起源だとされています。日本では平安時代に始まりました。竹に松を添えるという現在の門松の原型が出来上がったのは、室町時代になってからです。竹も長寿を象徴することから、こうしたかたちができあがったと言われています」(担当者)
門松は2本1組で飾りますが、置く際には2番目に高い竹が外側に来るように置くのが一般的。飾っておくのは歳神様がいる期間とされていて、その期間を「松の内」と呼びます。この期間は関東地方においては1月7日、関西地方においては1月15日までというところが多いようです。これは、徳川家光の死去が関係していると言われています。徳川幕府三代目将軍の家光の月命日が松の内の期間内となってしまうことから、江戸では月命日に被らないように松の内を早めに終わらせることにしたのに対し、関西では特に影響がなく以前のままだったため、こうした差が生まれました。ただ、最近は関西地方においても1月15日以前の休日(10日あたり)に片付けることが多くなってきています。
門松は、竹の先を斜めに切った「そぎ」と、節のところで真横に切った「寸胴(ずんどう)」の2種類に分けられます。もともとは寸胴が主流でしたが、徳川家康が「三方ヶ原の戦い」で負けた武田信玄に対しての戒めとして、3本の「竹」を信玄の首に見立てて竹の頭を斜めにそぎ落としたのが最初だというのが最も有力な説です。
以前は関東では「寸胴」が多く、関西は「そぎ」が多く飾られてきましたが、現代においては多くの地域で「そぎ」が多数派になっています。担当者は、「デザインでみると、関西では紅白の葉牡丹や南天が添えられた派手なものが好まれ、関東はシンプルなものが好まれる傾向にあります」と言います。
一般の方の需要も増えてきているとのことで、数年前からは一般家庭用のコンパクトな門松も販売を開始したそう。来年は、あなたの家でも門松を飾ってみては。