兵庫陶芸美術館で開かれている特別展「やきものの模様-動植物を中心に-」。岡田享子学芸員によるリモート・ミュージアムトーク。3回シリーズの2回目。
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兵庫陶芸美術館では、2022年2月27日(日)まで、特別展「やきものの模様-動植物を中心に-」を開催しています。この展覧会では、兵庫県立人と自然の博物館と協力して、やきものの模様を「アート」と「サイエンス」の双方の目で観察し、江戸時代以降に作られた、やきものの模様に込められた願いや思い、また模様が生み出される過程を紹介しています。
今回紹介するのは、「松と鶴の模様」です。
松と鶴の取り合わせは、夫婦の長春不老を祝う、おめでたい意味が込められた模様の一つとして好まれてきました。中でも、松の木に止まる鶴の絵は、中国の絵画や、日本では、狩野派や江戸時代中期に活躍した長崎派と呼ばれた画家たちの絵によく見られます。
ところが、サイエンスの眼でみると、松の木に止まる鶴の模様は別の解釈になります。ツルの生息地は湿地帯であり、松の木にはとまりません。実は、松に巣を作るのはコウノトリであるため、描かれている鳥もコウノトリと考える方が自然に感じられるのです。
会場では、やきものの模様に関連する、動物の剥製や植物の標本も展示しています。それぞれを眺めて、似ているところや異なるところなど、想像を膨らませながらご覧ください。
◆「やきものの模様-動植物を中心に-」
会場 兵庫陶芸美術館
会期 2021年12月11日(土)~2022年2月27日(日)
休館日 月曜
開館時間 10:00~18:00
(入館は閉館の30分前まで)
観覧料 一般600円、大学生500円、高校生以下無料
◆兵庫陶芸美術館
兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4
電話 079-597-3961
【公式HP】