「明石鯛」に「タコ」、「てんとうむし」や「くまのみ」まで、さまざまな動物が兵庫県明石市の街なかを中心に、ゴミを食べながら走っている……。といっても、本物の動物ではなく、これは「パッカー車」と呼ばれるゴミ収集車のことだ。
パッカー車とは、車両に入れたゴミを自動的に荷箱に押し込んで圧縮する装置を持った、機械式のゴミ収集車のこと。明石市に本社のある木村工業株式会社では、このパッカー車に動物の模様を施した「アニマルパッカー(アニマルカー)」(※)を、2001年頃から走らせている。(※「アニマルパッカー」および「アニマルカー」は木村工業が商標登録)
木村工業では主に事業系一般廃棄物の収集を行っているが、これまで廃棄物処理業界のイメージが良くないことを感じていたという。そこで、どうしたらイメージアップを図れるかを考え、多くの人に興味を持ってもらえるように、見た目に楽しく美しい「アニマルパッカー」を制作することになったという。
今は明石と神戸、大阪でおよそ30種類の「アニマルパッカー」が活躍している。明石の「あかし鯛さん号」「たこさん号」や神戸の「ウリボー号」、大阪の「ひょうさん号」や「とらさん号」など、地域によってイメージがある動物を採用し、ご当地「アニマルパッカー」感を演出。今後もバリエーションは増えていく予定だという。
また、同社では不用品・粗大ゴミ・引っ越しゴミの回収などの個人向けサービスも展開。その「ゴミの110番」専用のアニマルカー「だるめしあんさん号」の登場機会も、タイミングがよければ見ることができる。
明石市内でも広く認知され、「評判は良くなっている」そう。子どもを持つ親からは「何種類の動物がいるの?」、「次はどんな車が走るの?」、「どこにいけば全車両が見られるの?」、「見学はできるの?」など、多くの問い合わせが届いているという。
木村工業の担当者は「私たちの仕事は社会を縁の下で支える地道なもの。だからこそ社会の一員として生活の中で意識してもらえるように存在感を発揮することが大切だと考えています。多くの人がゴミや廃棄物処理のことで困ったときに、一番に相談してもらえること。それが私たちの目指すことです。皆さん、街で『ゴミを食べる動物たち』を見かけたら、ぜひ応援してあげてください!」と話している。