兵庫県警本部長に桐原弘毅警視監が4月8日付で着任し、会見で「暴力団対策と特殊詐欺対策を重点的に、攻めの姿勢で取り組みたい」と抱負を語った。
桐原本部長は一橋大学法学部を卒業後、1987年に警察庁入庁。皇宮警察副本部長や神奈川県警警備部長のほか、石川県警や岡山県警でも本部長を務めた。いずれも兵庫に拠点を置く特定抗争指定暴力団「六代目山口組」と「神戸山口組」が分裂して7年経つが、さらに離脱した「絆會」も含め“三つどもえ”の状況は変わらない。桐原本部長は「対立抗争状態は続いており、住民に大きな不安を与えている。最終的に暴力団がなくなる日がくることを願う」と述べた。
岡山県警本部長時代、忘れられない2つの出来事があった。1つは西日本豪雨災害(2018年7月)。「警察力をはるかに超えた、経験のない災害で、被災地での安全確保や人命救助のあり方を改めて考えさせられた」と話し、阪神・淡路大震災の被災地、兵庫でも災害対策は重要なテーマに挙げた。もう1つは津山市女児殺害事件。14年経ち、兵庫で起きた別事件で収監中の犯人を検挙(2004年9月発生、2018年5月検挙)。兵庫でも2021年、神戸市男子高校生殺害事件で、10年10か月が経過して犯人が検挙された。
それでも未解決事件は残っている。「意外なところから解決の糸口が見えてくるかも知れない。まだまだ粘り強く捜査を続けていきたい」と気を引き締めた。
座右の銘は、人間は汗を流して初めて、物事の本質を悟るという「流汗悟道(りゅうかんごどう)」。空手をはじめ武道を愛し、「時間が許せば、道場で汗を流したい」と話す。鹿児島県出身、58歳。