サッカーのアジアクラブチームナンバー1を決める大会「ACL（AFCチャンピオンズリーグ）」のグループステージに参戦しているヴィッセル神戸。グループJ集中開催地のタイ・ブリーラムで、19日夜、傑志（香港）との一戦に臨む。会場はブリーラムシティスタジアム、キックオフ予定は日本時間の午後8時（現地時間の午後6時）。
今シーズンは出場する大会すべてでタイトル獲得を狙うヴィッセルだが、序盤のJ1リーグ戦ではけが人続出の影響などもあり、4分け6敗とまさかの未勝利。現時点で最下位に低迷する事態となっている。チームは3月中旬に三浦淳寛氏との契約を解除。その後、ヤングプレイヤーデベロップメントコーチのリュイス・プラナグマ氏が暫定監督として指揮をとり、5月8日には新たにロティーナ氏が新監督に就任。スペインで数々の名クラブを率い、Jリーグでの経験も豊富な名将のもと、再生を期すなかで、大事なACLの戦いに挑むことになった。
そのなかで、本来であれば16日から試合が予定されていたものの、その第1戦の相手、中国の上海海港が出場を棄権。グループステージでは傑志、チェンライ・ユナイテッド（タイ）の2クラブと2試合ずつ、計4試合を行うことになった。日本が属する東地区では各グループの1位（5チーム）と、2位のうちの成績上位3チームの計８チームがノックアウトステージに進出できるACLで、ヴィッセルはまず、決勝トーナメントへストレートインで出場できるグループ1位を目指すことになる。
ただし、大黒柱でキャプテンのアンドレス・イニエスタ選手は、今回のタイ遠征には帯同していない模様。自身のSNSでも、「グループリーグで一緒にいられなく残念です。絶対に目標を達成します。100％でプレーするために全力を尽くします。応援しています！バモス、visselkobe」というコメントを残している。プレーオフのメルボルン・ビクトリー戦でも獅子奮迅の活躍を見せてチームをグループステージに導いた8番の不在は大変手痛いもの。
それでも、「アンドレスのことに関してももちろん、我々がすぐにチームに戻ってこられるように準備をしていくところだ」と試合前日会見で語ったロティーナ監督は、「もっとチームとして戦わなければいけない」と組織づくりに着手している。「明日の試合に向けて、上海が来られなくなったことで、自分たちには準備をする時間ができて、自分たちにとってはすごくいい時間になった。実際にトレーニングキャンプのような状態でチームとのコミュニケーション、選手とのコミュニケーションを図り、戦術をチームに落とし込んでいるが、それがどれだけ理解できているかというのは、ピッチのなかでちょっとずつ表現されていくもの。そのなかで修正しながら、この試合に臨みたい」と意気込みを示している。
また、同じく試合前日会見に出席したMF扇原貴宏選手も、「新しい監督になって、新しい大会（ACLグループステージ）に臨むにあたって、ゲームモデルもすごくはっきりしている。そのゲームモデルを自分たちがどれだけ試合でできるかというのは、自分たち（の活躍）次第。そのゲームモデルをしっかり表現できれば勝つことができると思う。しっかり表現しつつ、勝ちながら修正等々していければと思っている」と、限られた時間でのトレーニングでも手ごたえをつかんでいるよう。イレブンがどんな戦いを見せてくれるか、楽しみなところだ。
18日に放送されたラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸』のマッチプレビューコーナーでは、サッカージャーナリストの河治良幸さんが電話出演し、相手の傑志の印象について語っている。
河治さんはこのなかで、傑志について「かなり手強い相手で、ACL慣れをしているチーム」と評価。「決定力のあるFWデヤン・ダムヤノヴィッチ選手（9番）のところにいかにボールを集めるかというサッカーをしている」「カウンターが怖いのと、短い時間のなかでも前線の選手がポジションを動いてくる。そこをしっかりつかまえられるかがポイントになると思う」と、ACL常連チームを分析。相手のキーマンには10番のMFクレイトン選手を挙げ、「トラップがうまく、そこからくるっと前を向いてパスが出てくる。神戸が支配していても彼にボールがわたると一発でやられる危険性がある。セットプレーのキッカーでもあり、ダムヤノヴィッチ選手や、キャプテンのDFエリオ選手（5番）といった長身の選手に合わせてくるので注意が必要」だという。
