エム・シーシー食品株式会社(MCC食品/本社・神戸市東灘区)は2022年春、神戸市内で4つ目の生産拠点となった神戸・ポートアイランド工場の完成に伴い、近隣の企業へ「引っ越しそば」をモチーフとした商品のアレンジメニューをキッチンカーで届ける「MCC 引っ越しそばお届けプロジェクト」を期間限定で展開した。
MCC食品は、このプロジェクトのスタートにあたって、神戸・ポートアイランドの企業での食に関する事情を調査した。中でも、小児がんや難病の子どもたちとその家族が過ごす滞在型療養施設「チャイルド・ケモ・ハウス(※)」(神戸市中央区港島中町)では、ハウスの滞在者が、子どもが入院する病院とハウスを行き来する忙しい毎日の中で、食事を簡単に済ませていることがわかった。
体力的、精神的に厳しい状況の中、子どもの看病後にハウスに戻って慌ただしく食事をとり、その後再び病院へ戻る家族もいるという。そこで、キッチンカーで調理した温かい食事を提供することで調理の時間も省け、大きな支援につながるのではという思いから、4月28日に実現した。
※チャイルド・ケモ・ハウスは、公益財団法人「チャイルド・ケモ・ サポート基金」が管理、運営
子どもの看病のため、入院する病室の簡易ベッドで寝泊まりする家族が多い中、チャイルド・ケモ・ハウスの存在は大きい。 この日はMCC食品のエスニック風冷凍食品から、タイ料理風の「スパイシー・ガパオ」、台湾料理風の「ルーロー飯」など4種類・約30食を提供。初めてのイベントに、チャイルド・ケモ・ハウスのスタッフも歓迎ムードに。看病で疲れ気味の家族らも、ふだん接することがない「キッチンカー」を楽しんだ。大型連休で付き添いの家族も多く、別に準備したかぼちゃのスープなどを口にする子どももいた。
夜のキッチンカーの明かりと、エスニック風料理の匂いが、海外の屋台のような雰囲気をかもし出し、利用者は楽しい食事のひとときを過ごした。
プロジェクトは、神戸・ポートアイランドに所在する計13社・団体(食数約350食)に提供、この訪問が最後となった。来年(2023年)神戸で創業して100年を迎えるMCC食品は、このプロジェクトを通して「美味しい」「楽しい」といった味の感動に通ずるものを、次の100年も伝えていきたいとしている。