空港や駅の構内、ショッピングモールの広場などに置かれ、誰もが自由に弾くことのできる「ストリートピアノ」。世界各地で、その音色が街を彩っています。兵庫県神戸市も積極的に設置を進めていて、令和4(2022)年2月10日、和田岬駅への設置をもって、市営地下鉄海岸線の全10駅でストリートピアノが奏でられるようになりました。路線の駅すべてにストリートピアノが設けられるのは全国初です。
このたび、神戸在住のピアニスト・天宮遥さんが、三宮・花時計前駅で記念演奏を披露。神戸市文化スポーツ局 文化交流課の音田真陽(おんだまや)さんに、神戸市でのストリートピアノ設置の背景などを聞きました。
――ストリートピアノを、地下鉄海岸線全駅に設置しようと企画された理由は?
設置前から、国内外で取り組みがあることは知っていて、古くからジャズなどがさかんな、“音楽のまち神戸”にも、なじむのではないかと考えていました。そこで、2019年に、JR神戸駅すぐの地下街「デュオ神戸」での音楽イベントに合わせて試しに設置したところ、大好評をいただきました。それ以降、たくさんの方に支援と共感をいただきながら、取り組みの輪を広げているところです。
――地下鉄海岸線は全駅にストリートピアノのある全国初の路線となったそうですね!
じつは、最初から全駅への設置を意図していたわけではありません。市内各所へ設置する中で海岸線の駅に設置するケースが増え、未設置の駅のほうがわずかになってきたため、いっそ全駅に設置したら、私たちが目指す「ピアノがまちなかに自然に置かれている環境」に近づくうえ、「全国初」として話題にもなり、沿線地域の活性化にも貢献できるのではないかと考えました。
――素晴らしいですね! 反応はいかがでしたか?
(全駅設置を記念して開催中の)スタンプラリーに参加したみなさんが、「全駅のピアノを弾けたことや、駅ごとに特色のあるスタンプを集めることが楽しかった」「楽しい企画をありがとうございました」というお声を多数くださっています。また、インスタグラムにもたくさん投稿していただいています。小学生低学年くらいのお子さんが楽しげに弾く動画や、海岸線のストリートピアノを装飾する「神戸タータン」を大きく写した写真が投稿されていて、楽しんでくださっていることが伝わってきます。
――実際、みなさんどのような感じで弾かれていますか?
ふと立ち止まって弾く方もいらっしゃいますし、わざわざピアノを目指して弾きに来られる方も。スタンプラリーには、千葉県や愛知県など、遠方のご住所の方もいらっしゃって、旅行のひとつの思い出になっていればよいなと思っているところです。
――弾くときに注意することなどはありますか?