深い友情で結ばれたふたりのかえる「がまくんとかえるくん」を主人公にした絵本の作者、アーノルド・ローベルの生涯を紹介する「アーノルド・ローベル展」が、兵庫県伊丹市の市立伊丹ミュージアムで開催されている。2022年6月5日(日)まで。
「がまくんとかえるくん」の生みの親であるアーノルド・ローベルは、子どもの頃から絵やお話づくりが大好きで、絵本作家になることが夢だった。そんなローベルが描く世界はあたたかくてホッとする、他者とのつながりを大事にした物語は、やさしさにあふれている。真実を語っており、喜びもあれば悲しみもある。
代表作である「がまくんとかえるくん」シリーズは、ローベルにとって特別な作品だという。それまでは子どもが読みたい絵本を作ってきたローベルが、自分のことを話したいと思うようになり、その代弁者となったのが「がまくんとかえるくん」。正反対の性格を持つふたりだが、ローベルは両方に自分自身を投影した。ふたりを巡る日常生活の何気ない様々な出来事に奥深さを感じると、世界中で愛されているシリーズとなった。
会場には、誕生から50年となった「がまくんとかえるくん」シリーズをはじめ、ローベルが手掛けた絵本の原画やスケッチなどおよそ200点が並ぶ。すべて手描きで細部まで丁寧に描かれている。また、編集担当者とのやり取りが残る原画も展示されており、どのように修正や変更がされたのか、制作の過程を垣間見ることができる。ローベルがどんな人で、どんな作品を生み出したのか。やさしくあたたかい世界が広がる。
今回の「アーノルド・ローベル展」は、市立伊丹ミュージアムリニューアルオープン記念展となる。伊丹市の中心市街地にあった文化ゾーン「みやのまえ文化の郷」には、柿衛文庫、市立美術館、市立工芸センター、市立伊丹郷町館(旧岡田家住宅・酒蔵、旧石橋家住宅)の4施設があった。ここに、かつて市役所隣にあった市立博物館の機能を移転させ増築、あらたに「市立伊丹ミュージアム」として、2022年4月22日に、リニューアルオープンした。愛称は「I’M」。伊丹ミュージアムという意味はもちろんのこと、「『私の、MY』という意味も込めている。様々な文化の機能が集まったことで、分野を超えたハイブリッドなコラボレーションや新たな魅力を発信していきたい」と奥山清市館長は話す。
◆市立伊丹ミュージアム リニューアル・オープン記念展
「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展
会期 2022年4月22日(金)~6月5日(日)
会場 市立伊丹ミュージアム 展示室2・3・4
休館日 月曜
公式HP https://itami-im.jp/
※市立伊丹ミュージアムでは「丹波の工芸―杜のいろ」も開催中。丹波を中心に活躍する工芸作家17人の作品を展示(こちらは入場無料)。