女子サッカーのプロリーグ・WEリーグは、5月22日の第22節をもって、2021-22シーズンの全日程が終了。第20節で優勝を決めたINAC神戸レオネッサは、アウェイで大宮アルディージャVENTUSに5-2と大勝し、勝点を50に伸ばして、WEリーグ元年の有終の美を飾った。
この一戦で光り輝いたのは、INAC神戸自慢の2トップ。なかでも、FW田中美南選手はエンジン全開だった。12分、43分、77分にゴールを決めて、WEリーグ戦では自身初のハットトリックを達成し、今シーズンの得点数を12に伸ばした。同日、得点ランキングを争っていた菅澤優衣香選手(三菱重工浦和レッズレディース)も2得点を決めて14得点としたため、田中選手の逆転での初代得点女王はかなわなかったが、前半戦でけがの影響などもあって苦しんだなか、後半戦10試合で11得点を記録。なでしこジャパン(日本女子代表)を牽引するストライカーとしての意地を見せつけた。また、FW髙瀬愛実選手は、15分に豪快なミドルシュートを叩き込み、なでしこリーグ時代からの通算得点が100の大台に。キャプテンのMF中島依美選手とともに2009年からINAC神戸一筋で活躍する背番号11にとっても、記念すべき試合となった。
試合翌日に放送されたINAC神戸レオネッサ応援番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西、パーソナリティー=近藤岳登・赤﨑夏実・寺田光)では、勝利した大宮戦の話題や、田中選手、髙瀬選手の偉業を称える話で盛り上がっていた。「相手が対策をしているなかで5得点をとって勝つという強さを見せつけた。チームみんなが髙瀬選手、田中美南選手にボールを集めていたし、得点を取らせてあげたいという気持ちが見えた。最終戦のよさがあった」と述べていたのは、元Jリーガーの近藤。なかでも、近藤が赤﨑、寺田とともに興奮気味にスポットライトを当てていたのは、田中選手の先制点のシーンだ。右サイドのDF守屋都弥選手からのアーリークロスを受けた田中選手は、マークに来ていた相手DFを一瞬でかわしながら冷静に左足でゴールしたが、その時の背番号9のプレーに技術の高さが詰まっていたという。
【近藤】 田中美南選手、めちゃめちゃうまいわ! 特に1得点目。
【赤﨑】 「いま、なにしたの?」と驚くほどでしたね! あんなにさらっと抜けられるものなのですか? 目線はゴールにいっていて、足だけで“ちょんっ”とかわしていましたね。
【近藤】 その気持ち、わかる! ポンと右足のアウトでとめて、そのまますぐ左に切り替えた。その時点で相手DFはスライディングしていたが、あのときの(左に切り替える直前の)モーションというのは、「シュートも打てますよ、やめることもできますよ」というもの。あれは普通の人じゃできない。ファーストコントロールでも、守屋選手から来たクロスをまず止めるというところで、その止める技術が圧倒的に高い。そこで、ファーストコントロールのボールを右足のアウト(サイド)におけるのは、なかなかできないこと。もっとボールが足から離れてしまって、それこそ相手DFのスライディングにひっかかるし、(止めに来ていた)相手がもう1枚きていたから、その選手がカバーもできる。でも、2人が来ているのがわかったんだろうね。トンって軽いタッチでとめておいて、さらして、すぐにでも打てますよというモーションを入れつつ、やめて、切り返した。もうすごい!
【赤﨑】 わずか何秒の間に?
【田中】 そう、身体が自然と動いているよね、「ここにきた、はい、こうやってかわします」という感じで。同じシチュエーションはなかなかこないなかで、あのタイミングであのプレーができるというのは、単純な足もとの技術、周りを見る視野の広さがあり、スピードのところもむちゃくちゃトップスピードにするわけでもなく、ボールを扱う瞬間はすっとスピードを落としつつ、コントロールして、切り返し、最後までGKをよく見て、相手DFも見て、流し込んだよね。
【寺田】 全部が全部すごいですよね!
【近藤】 すごいよ! 田中選手もそうだけど、INAC神戸の選手について、今シーズンに関してはだいぶ細かい話をしたくなるくらい、本当にすごい! 最後の最後まで感動させられたよ。前半戦でなかなか得点を取れなかった田中選手が最後にこれだけ取れたということは、最初からいいコンディションなら間違いなく得点王だったと思うし、来シーズンはきっと取ると思うよ!