神戸のワクワクロックンロールバンド「ワタナベフラワー」のクマガイタツロウが、10月19日(土)神戸市長田区の鉄人広場で行われた自身が主宰する音楽フェス「神戸ストラット」について語った。
「今年に関しては、あきらめかけたことが何回かあったんです。スポンサードいただいている企業や個人のファンの皆さんに助けていただいて、入場無料でやっているんですけども、実は、昨年、晴れだったにもかかわらず、大赤字だったんですよ。『これはなんとかしないと!』ということで、スタッフのみんなにも、いろいろ節約してもらったりしましたが、いったいどうなるんだろうと、とても不安だったんです」
節約しているなかで、出演アーティストも、ノーギャラだったという。「無料のボランティアで出てもらったんですよ。プロのみんなに。しかも、『1曲は昭和歌謡のカバーやって!』とか無茶言って。いくらプロでもみんなの前で披露するとなったら、練習しないといけないわけですよ。これ、考えたら本当にありがたいなと。誰も嫌な顔ひとつせずに」
毎回、神戸市内の区を変えて開催している「神戸ストラット」だが、今回の長田区に関してクマガイは「神戸の各所でライブさせてもらってるんですけど、長田のお客さんの層ってちょっと違うんですよね。僕が目指している、子供からお年寄りまで楽しんでもらいたいというなかで、おっちゃん、おばちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんの層が厚い。それがいいなあって思いました」と、長田ならではの魅力を語る。
今回の「神戸ストラット」は、『昭和』がテーマだったいう。令和元年に、昭和の魅力が残る長田で開催するためだ。
「神戸はハイファッションだけじゃなく、こういう下町も残ってるんだよっていうのを発信しようと、昭和歌謡を歌ったり、懐かしい遊びのブースを設けたりしたんですけど、そんなコンテンツを超える昭和の魅力を見たなと思いました。それは、長田の“人情”でしたね。『クマチャンちょっとこっちきてこれ食べ!』って、食べかけのお好み焼きくれるんですよ(笑)。商店街を歩いていると、とにかく、みんなが何かをくれようとするんですよ。『あんたがんばってるなー! なんかあげるわ!』と言って、何もないときでも、ポケットとか探って『なんかないかなー』って一生懸命探すんですよ。でも、そういう気持ちが本当におもろいというか、グッとくるんです」
今回は、街全体を楽しんでもらおうと、会場内の出店ブースを減らしたという。「フェスに来たお客さんが、長田の商店街や市場にも行ってもらうために、あえて、会場の内のブースを減らして、もともとあるお店に、応援店舗になってもらいました。そうしたら、フェスが終わってツイッターを見たら、ファンの方がそういうお店に足運んでくれていて、それが、本当にうれしかったです!」
当日、天気予報は雨だったが、曇り男を自称するクマガイタツロウの力のためか、当日は、曇り空のままなんとか持ちこたえ、大盛況のうちに終えた。
「なんとかかんとかやってこれて、あきらめなくてよかったなと思える光景が最後に見れて、本当に良かった。たくさんの方に応援いただきありがたかったです」