元阪急・オリックスの名投手であり、投手コーチとしてダルビッシュ有投手や田中将大投手らの育成にも尽力したことで知られる佐藤義則氏が、11日放送のラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』にゲスト出演。自身のYouTubeチャンネルで行っている投手目線での評論や、投げ方の指導論について語った。
現在、デイリースポーツで野球評論家を務める佐藤氏。YouTubeチャンネル「佐藤義則チャンネル」では、プロ野球・阪神戦に関する独自の視点で解説・評論を全試合で行っている。「普通の解説じゃなくて、いいところはいい、ダメなところはしっかりダメだというような解説をしようということでやっています」。
番組でのトークでは、いま流行のカットボールに関しても持論を展開。「一番長打になるボールだから、俺は大嫌い(笑)。外国人に対して、真っ直ぐでちょっとスピードが緩んできたときに、ちょうど合うボールだから。楽天でコーチをやっているときも、右バッターに対して右ピッチャーは絶対低く投げることなど、(投げるときは)条件を付けていた」と、当時の指導も交えて説明していた。
その佐藤氏は、いま、育成年代の指導にも力をいれている。中でも、小学5年生で野球を行っている女子選手に投球フォームを伝授した動画が話題に。この動画が投稿されたのは2021年のことだが、「速い球が投げられるようになりたい」という女子選手の思いを受けて、佐藤氏がフォームを指導。「撮影中にどんどん球速が変わっていったし、そばで見ていた人たちもびっくりするくらいの変化だった」(佐藤氏)と振り返る。
指導の際、一番大事にしているのは「(選手の)球の投げ方や体の使い方を見て、肩を痛めない投球フォームを伝えること」だという佐藤氏。「コーチという仕事の中では、たとえばひざやひじなど、見る場所をある程度、決めている。投げるなど運動というのは関節をどれだけうまく使うということしかない。運動するために曲がる場所をうまく使えないと、うまくいかないもの。使うのは関節だから、それをどれだけ曲げたり伸ばしたり、うまく使うかを見てやれれば」と、トレーニングで鍛え上げた筋肉をいかすためにも、関節まわりに負担をかけないで投げることができるかをポイントにあげる。
そして、フォームの指導をするときは「言葉だけでなく、実際に体に触れてフォームを教える」というのが佐藤氏の指導法。「ひじの位置が低いから手をあげろと言うだけなら簡単なこと。でも、手をあげると、体の他の位置も連動して動くので、足はどう使えばいいかというところまで説明しないといけない。言葉だけで指示するのではなくて、実際に腕はこうする、足はこうすると、触れて教えることを大事にしている」(佐藤氏)。
約20年にわたってプロ野球のコーチを務め、現在はその技術をアマチュア選手へと継承している佐藤氏。今後について「(自身の指導を経て)今のアマチュア選手の中から、ひとりでも多くプロに行けるような選手が出てきてくれるとうれしい」と願っていた。