歯止めがきかない特殊詐欺の被害防止に、江崎グリコ(本社・大阪市西淀川区)の工場見学施設「グリコピア神戸」(神戸市西区)と兵庫県警がタッグを組み、啓発動画を制作した。
兵庫県警YouTubeチャンネルで公開するほか、グリコピア神戸1階・ウエルカムホールでも毎日放映している。
グリコピア神戸は1984(昭和59)年にオープン、見学施設は1988(昭和63)年にオープンした。今や国民的お菓子ともいえるロングセラー、ポッキーやプリッツなどのファクトリ―(製造所や製造過程)を見学、体験でき、画面をタッチしながらオリジナルスイーツを作る「デジタルクッキング」などのプログラムで、子どもから大人まで”見て、学び、体験できる”施設。
グリコピア神戸の館内で撮影した啓発動画は、約50秒の「サポート詐欺(※)バージョン」と、約30秒の「還付金詐欺バージョン」の2種類。
グリコピアの案内スタッフの女性が警察官に相談するショートストーリーで、それぞれの手口を、「お金」「電話で指示」、「電子マネー」などのキーワードを用いて説明し、理解しやすいよう心掛けた。そして最後に「それは詐欺です」と注意を促す。
※「サポート詐欺」・・・架空料金請求詐欺のうち、インターネット利用者の端末に、偽のセキュリティ警告等の画面を表示させるなどして、実際にはウイルスに感染していないにもかかわらず、不安を感じて電話をかけてきた利用者に対して対策費用(サポート)を支払わせる名目で料金をだまし取る詐欺の手口
グリコピアとのコラボレーションを企画したのは、近隣の垂水警察署(神戸市垂水区)。垂水区は神戸市内で高齢者の居住率が高く、2020(令和2)年の被害件数は79件(兵庫県内でワースト2位)、2021(令和3)年は42件(同6位)、2022(令和4)年は8月以降に急増しているという。
この企画にはグリコピアの地元・神戸西警察署や、神戸の高台にあるグリコピアから見渡せる須磨・明石・淡路の各警察署も加わった。
兵庫県警によると、地域別では被害の約8割を都市部の阪神・神戸地区で占めており、特殊詐欺全体の被害者の年代別では高齢者(65歳以上)が全体の約8割に及ぶ。
兵庫県警は2022年9月、全国3番目となる専従の「特殊詐欺特別捜査隊」を結成して、犯行グループの本格的な実態解明と検挙に向けた体制を強化した。