林歳彦氏（会社経営者・環境活動家）と、フリーアナウンサーの田中大貴（元フジテレビアナウンサー）がパーソナリティーを務めるラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー！やってみよう！！』。2022年10月31日放送回では、ジット株式会社（本社：山梨県南アルプス市）の代表取締役社長・石坂幸太郎さんをゲストに迎え、事業継承をした際のエピソードや、事業理念の1つである社会貢献についての思いなどを聞いた。
インクカートリッジのリサイクル事業を展開する、ジット株式会社。現在、全国では約1億ものカートリッジが流通しているといわれるなか、同社は2800万～2900万のカートリッジを回収し、その中に自社のインクを充てんのうえ、“リサイクルカートリッジ”として、家電量販店やホームセンターなどを通じて販売している。 カートリッジは中に液体が入っているため簡単に処理できず、リユースすることが地球環境にも良いのだと石坂さんは話す。
そして同社は、サッカー天皇杯で優勝した地元のJリーグクラブ・ヴァンフォーレ甲府のホームスタジアム命名権を持っており、山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場を「JITリサイクルインクスタジアム」と命名。命名権が付与された理由として、様々な地域貢献・社会貢献活動をしていたことが評価されたのだそう。
そんなジット株式会社で2代目社長を務める石坂さん。社長に就任したのは2年前のことで、前社長（現会長）である父親からの事業継承だったと話す。父親について、石坂さんは「1人で会社を立ち上げただけに、逆境に立ち向かう精神力が半端じゃないくらい強い」と言う。
「父からは『絶対に下を向くな』と言われてきました。『300人の従業員が見ているんだから、常に上を向け』と。あのエネルギーにはちょっと勝てそうにないですね」（石坂さん）
そして、熱意あふれる父とは衝突することも多かったと石坂さんは振り返る。
「社員の幸せと企業の利益、どちらも追求したいという思いは、2人とも一緒だったんです。ただ、そのための方法が違い過ぎたんですね。だから今も衝突はします。そういうときは、父と2人か、もしくは、幹部たちを交えて話し合ったりもしますよ」（石坂さん）
事業継承から2年。石坂さんは「いろいろな葛藤がありました。会社があるからできること、会社があるからできないこと、どちらもありましたね」と、胸の内を明かす。しかし、最終的に行きついた答えは「一緒に働いている社員を幸せにしたい」という思いだったと語った。
「社員がどんどん増えていくなかで思ったのは、彼らにも家族がいるということでした。そんな彼らを（幸せにするために）なんとかしていきたい、という思いがあったから自分も事業継承に思い切り踏み込めたという部分はありますね。一緒になって会社をやってくれると手を結んでくれたからには……という思いは強くあります」（石坂さん）
また、石坂さんは社員を幸せにすると同時に、事業を通して「社会貢献」することも強く意識していると話す。
「メイン事業がリサイクルカートリッジ、環境に関わる部分なのでこれを通して社会貢献をしていこうというのが私たちの理念です。インクカートリッジはまだまだゴミとして捨てられているので、しっかり回収して、環境を良くするために動いていこうという考えがまずあります」
地球環境を考えた事業を行うほか、同社では障がい者雇用も積極的に進めているのだそう。現在、グループ全体で300人の従業員がいる中で、その3分の1が障がい者だと石坂さんは話す。
「精神障がいを含め、障がいを持った方を雇用する場というのは結構難しいんです。それ（障がい者雇用）を作り出せるような事業を行うのも社会貢献につながると思うので、これも事業理念の1つですね。できるだけ彼らの職を増やしていく、これは会長（前社長）がかなり力を入れていたことなので、見習ってやっていきたいです」（石坂さん）
最後に、今後の展望について、「最終的な目標は海外展開」だという石坂さんは、「今はまだシェアが10パーセントほどですが、国内シェア20パーセントを目指していきたいですね。海外展開を最終的な目標にしているので、ジット株式会社という社名と私たちの社会貢献活動を山梨から全国へ、そして海外へどんどん広げていきたいです」と、前を見据えていた。
■ジット株式会社
【公式HP】
