大阪のシンボルともいえる「大阪城」は、観光客や修学旅行生などに大人気のスポット。しかし大阪生まれ大阪育ちであっても「実際に行ったことがない」「あまり知識が無い」という人もいるのでは?
今でこそオフィス街から立派な姿を眺めることができますが、この光景が当たり前となったのは実はここ100年ほどのことなのです。
さかのぼると、初代の大阪城(当時は大坂城)は1583年に豊臣秀吉によって築城されました。大変立派だったと伝えられる初代大阪城ですが、1615年の「大坂夏の陣」によって、豊臣氏の滅亡とともに落城します。
その5年後、2代目将軍・徳川秀忠の命により大阪城は再築。初代大阪城を埋め立て、10年の歳月をかけてようやく2代目大阪城が完成したものの、たった数10年後の1665年に雷によって天守閣は焼失してしまいます。橋や門、他の建物などは残っていたものの、1868年に起こった明治維新の混乱により、それらの建物も焼け落ちてしまいました。
しかし昭和6年(1931年)、当時の大坂市長であった関一氏の提案によって大阪城天守閣は復興をとげます。復興は市民たちによる募金によってまかなわれましたが、熱狂的な支持のおかげで目標金額は即達成されたのだとか。とはいえ、2代目大阪城の焼失から復興まで、およそ250年もの空白があったのでした。
紆余曲折を経て復興をとげた天守閣は、現在は博物館として開放されています。内部は8階建てとなっており、7階まではみっちり豊臣秀吉の生涯やこれまでの大阪城の歴史などを知れる展示となっています。最上階にあたる8階は展望台で、地上約50mの高さから大阪を一望することができます。
1583年に築城された頃とはすっかり変貌した大阪(大坂)城ですが、展望台から街を見下ろしてみれば、少し当時の気持ちに浸れるかも。
(取材・文=つちだ四郎)