林歳彦氏(会社経営者・環境活動家)と、フリーアナウンサーの田中大貴(元フジテレビアナウンサー)がパーソナリティーを務めるラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』。2022年11月21日放送回では、ホープインターナショナルワークス株式会社(本社 :大阪市西区)の代表取締役・高村三礼さんをゲストに迎え、同社の取り組みや思いについて話を聞いた。
ホープインターナショナルワークス株式会社が立ち上げられたのは、13年前のこと。当時は新品の洋服を作る企業であったが、昨今のSDGsブームに影響を受け、高村さんは「服の廃棄量をゼロにしたい」という思いが生まれたという。
「うちの会社で(新品の服を)70万着くらい作っているのですが、一生懸命作っても捨てられる現実を見てきました」と、高村さん。ファストファッション文化が浸透する現代、数多くの服が捨てられるという状況を目の当たりにして、「この問題をなんとかしなきゃいけない」と危機感を持つようになる。今は、洋服を捨てられないような活動を推進すべく、リメイクショップを6店舗経営している。
高村さんが経営する店舗では、リメイクにより服と服を融合させて新たな一着を生み出す“世界に一着しかない服”と出会えるのだそう。
「(リメイクで)いろいろなことができるのですが、例えば2着の服を1着にするみたいなことをメニュー化しています。そうやってパッケージにした方が分かりやすいと思いますし、どの服をどう組み合わせるかデザインを考えるのも難しいと思うので……Tシャツ2枚を融合して1枚にしたり、セーターとシャツを組み合わせてみたり、そういう提案をしています」(高村さん)
他にも、自分のお気に入りだった服を犬用の服にアレンジする、亡くなった家族の服でスカートを作る、着物の生地を使って小物に作り直したり普段着の生地として再利用する……など、日々さまざまな依頼を、高村さんをはじめ同社で請け負っている。
「当社にはデザイナーやパタンナーもいますし、新しい洋服を作る技術はあるんです。でも、その力を使って既存の服を作り直す。これを僕らは『リデザイン(Re-Design)』と呼んでいます。今はもう新品の服を作ることも少なくなっていて、こっち(リデザイン)に特化しようと思っているんです。新しい服を作れる業者はたくさんいますし……。それに、僕らの店に並んで行列を作っているお客さまもいるので、思い出の服を復活させるという方向に事業転換しようかなと」(高村さん)
思い入れのある服に新たな命を吹き込む、そんな事業を推進する一方、「(リメイクは)値段的に高くなってしまう」と問題点を明かす高村さん。すでに形となっている服を“ほどく”のに時間がかかることが主な理由だというが、現在は(生地を)切り貼りすることで時間を短縮して価格を下げるなど、服のリデザインがもっと身近になるよう模索中だと話す。
さらに、この問題を解決するため高村さんは「あるアイデア」を思いついたのだそう。
「僕たちが(リデザインを)すると、プロが業務用の設備を使うので値段が高くなっちゃう。それならば、服飾業界にはいないけど手芸が好きな素人なら……ということで、和裁・編み物・手芸が好きな人たちと、安くリメイクをしたい人たちをマッチングさせるアプリを作っています。今、ミシン人口は1100万人いるらしいので、そういう方達にリメイクをしてもらって、価格を下げてリデザインをもっと身近にすることで『洋服を捨てられない文化』が作れないかと考えています」(高村さん)
このような取り組みを通し、「服の廃棄量ゼロ」を目指す同社。これまでリデザインを施した服は1万2000着にものぼるそうだが、「今、1年で33億着の服が捨てられていると言われているので、僕らだけでは何にもならない」と現実も認識し、「なので、同業他社さんにも開発中のアプリに参加していただいて、皆で1着でも捨てられる服を減らそうと動いています」と、アクションも起こしている。
そう話す高村さんに対し、パーソナリティーの田中大貴も「昔は、おさがりなどで服を使いまわすこともありましたが、服が安くなってきてそんな文化もなくなってきましたよね」と同調していた。
そして、高村さんたちは、少しでもリデザインの取り組みを広めようと、TikTokを通したコンテストも行っている。
「例えば服の傷みが直っても、シルエットや色が今の流行じゃないと捨ててしまう。それをリデザインで何とかしたいんですよね。そこで、アプリ開発の他にも『リデザインファッションチャレンジ』というコンテストを今進行させてるんです。TikTokで『#リデザインファッションチャレンジ』のハッシュタグをつけて、リデザインした服のビフォーアフター動画を載せていただくというものなんですが、この企画で若い世代にリデザインを知ってもらえたらと思っています」(高村さん)
最後に高村さんは「1億着(服の廃棄量を)減らすのも大変で、僕たちだけでは全然足りない。本当に皆でチームになってやらないといけない。トレンドに合わせた新しい服もワクワクしますし、大事だと思うんです。でも、その一方でリデザインで“受け継がれていく服”という文化も新しく根付いてくれたらと。そういう文化を作っていきたいと思っています」と改めて熱意のこもったコメントを残していた。