服薬による絶大な効果は3〜5年 「パーキンソン病」治療による『副作用』について 医師に聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

服薬による絶大な効果は3〜5年 「パーキンソン病」治療による『副作用』について 医師に聞く

LINEで送る

この記事の写真を見る(1枚)

 1か月にわたり、症状や治療法などについて詳しく紹介してきた「パーキンソン病」。患者ごとに異なるという症状はもちろん、適切な治療方法など、まだまだ研究途中であることも多いと言います。そこで今回は、治療をするうえで目を逸らすことができない“副作用”について、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の平田温(ひらた・ゆたか)所長に詳しく聞きました。

――パーキンソン病を治療するうえで、副作用などはあるのでしょうか?

パーキンソン病の副作用について説明する際、私はいつも、1990年にアメリカで公開された映画『レナードの朝』を観ることを勧めています。

ロバート・デ・ニーロ演じるレナードという青年が、嗜眠性脳炎(しみんせいのうえん)をきっかけにパーキンソン症候群を患います。1960年代に登場したL-dopa(エル・ドーパ)という新薬により症状は劇的に回復するのですが、ある時から自分の意思と関係なく体の一部が勝手に動き出してしまう「ジスキネジア」という現象が現れます。ついには精神症状も出てきて、攻撃的になってしまいます。その結果、服薬を辞めざるを得なくなるのです。

この映画は実話に基づく作品であり、作中にもあるように、1960年代以降、服薬量は少しずつゆっくりと増やしていくことが世界中で共有されるようになりました。

――現在は、映画のような副作用は出ないのでしょうか?

治療法が確立したとはいえ、「ハネムーン期間」と呼ばれる薬が良く効く期間は3〜5年だと言われています。この期間を超えると副作用が出てくることが多く、問題になります。

ハネムーン期間を過ぎると、すぐには効果が出なかったり、効果が切れやすくなったりするなどの不都合が起きるようになり、「ジスキネジア」という不随意運動も発生するようになります。これらの症状を最小限に留めるにはどうするべきか、ということが現在の治療のポイントとなっています。

――つまり、現在も治療方法は進化し続けているということなのですね。

そうですね。実際、知られていないことはまだまだありますので、患者さんと話しながら症状を見つけていく必要があります。「おかしいな」と感じた人は、1度診察を受けていただければと思います。

◆平田 温(ひらた ゆたか) 社会医療法人榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所所長 / 脳神経内科部長
1973年に京都大学医学部を卒業後、京大老年科・神経内科で研修、次いで設立直後の国立循環器病(研究)センター内科脳血管部門(現=脳血管内科)で超急性期脳血管障害の診療や研究に従事。
その後、秋田県立脳血管研究センター神経内科に移り、20年間ほど臨床例の診断と治療のほかポジトロン(陽電子)CTによる脳循環・代謝研究などを行う。
2015年6月に吉田病院附属脳血管研究所に所長、脳神経内科部長として着任。

LINEで送る

関連記事