祝祭の代表的な行事の1つ結婚式をテーマに、世界の婚礼の衣装などを集めた特別展「祝祭の景色〜世界の結婚式〜」が、神戸ファッション美術館(神戸市東灘区・六甲アイランド)で開かれている。2023年1月29日(日)まで。
神戸では、1973年1月、当時の神戸商工会議所の会頭が「神戸ファッション都市宣言」をし、官民をあげて「ファッションの街・神戸」のイメージを作り上げてきた。その宣言から50年の節目を祝おうと、「ハレの日」の象徴とも言える結婚式の衣装およそ60点を展示する。
第1章は、白を基調としたウェディングドレスが並ぶ。1873〜75年ごろのお尻の部分がキュっと上がったバスルスタイルのドレスは、少し黄味がかった「はちみつのような色」の生地が使われ、オレンジ色の花のモチーフも見られる。「オレンジの花」は「多産」を意味するという。
ディオールのデザイナーだったジョン・ガリアーノのドレスは、スカート部分はたくさんの折り重なった折り紙をイメージしてデザインされた。このほかアニエス ベーや、日本を代表するデザイナー、桂由美やコシノヒロコ、コシノミチコの華麗なドレスも並ぶ。
第2章は世界の伝統衣装をテーマに色彩の世界へ。まず目に入ってくるのはインドのマハラジャ階級の婚礼。衣装だけでなく、その様子を再現した。結界を表す櫓の中には新郎新婦と僧侶、その周りに従者や親族が並ぶ。婚礼の様子を撮影した映像も見ることができる。
4日間続くというインドネシア・スマトラのパレンバンの婚礼や韓国の婚礼も再現したほか、日本の大正から昭和初期にかけての黒の振袖や、オランダ、アイスランド、ノルウェーなど世界各国の「ハレの日」の伝統衣装が並ぶ。「時代の移り変わりとともに、現代ではもう見られないものもある。貴重な機会になるはず」と神戸ファッション美術館の担当者は話す。