赤穂義士が討ち入りを果たした14日、兵庫県赤穂市で「第119回赤穂義士祭」が開催され、元禄絵巻さながらの「忠臣蔵パレード」を一目見ようと、沿道に約3万6千人(主催者発表)が集まった。パレードが行われたのは3年ぶりで、メインの義士行列では、俳優の中村雅俊さんが大石内蔵助役で登場した。
赤穂義士祭は1702(元禄15)年の同日、大石内蔵助ら四十七士が吉良上野介邸に討ち入って、本懐を遂げたことから毎年この日に開催されている。新型コロナウイルスの影響で、2020年と2021年はパレードが中止となったが、今年はコースを短縮するなど規模を縮小して実施された。
中村さんは1974年のデビュー以来、「俺たちの旅」「ゆうひが丘の総理大臣」などテレビや映画、演劇に多数出演。テレビ朝日系「忠臣蔵 音無しの剣」(2008年)では、赤穂義士に武具を調達する商人役を演じた。中村さんが進行役のテレビ番組に牟礼正稔市長が出演、その縁から今回のパレード参加が決まったという。
午後2時半、中村さんを先頭とした義士行列は、黒い火消し装束に刀を差した討ち入り姿で赤穂城跡大手門を出発。JR播州赤穂駅がある北方向に向かい、約600メートルの道のりを山鹿流陣太鼓の勇壮な音に合わせ、威風堂々と練り歩いた。カメラやスマホを掲げる人垣から、「雅俊さーん」などと歓声が上がると、中村さんは顔を向けて微笑。「息継ぎ井戸」前の終点では、四十七士全員で「エイエイオー」と力強く勝ちどきを上げた。
中村さんは「義士の存在の大きさを感じた。3年ぶりだからこそ、アグレッシブな気持ちでイベントを行っている皆さんの強さも感じました」とコメント。大石内蔵助に扮した自分自身を「意外とイケてるんじゃないか?と思いました」と茶目っ気たっぷりに話した。
赤穂市内の主婦(53)は「久しぶりにパレードを見ることができて、うれしかった。中村さんが通った時は、興奮して寒さを忘れていました」と上気した顔で語った。