ラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)12月19日放送回では、18日に兵庫県立三木総合防災公園陸上競技場で行われた「皇后杯 JFA 第44回全日本女子サッカー選手権大会」4回戦、INAC神戸レオネッサ対ASハリマアルビオン戦をプレイバック。番組パーソナリティーで元Jリーガーの近藤岳登が、INAC神戸の決勝点のプレーについて持論を交えながら解説した。
今シーズンの皇后杯初戦に臨んだINAC神戸。なでしこリーグ1部のハリマとの『兵庫ダービー』となった一戦では、今シーズン初先発となるFW浜野まいか選手とMF天野紗選手のU-20日本女子代表コンビがピッチに立ったほか、MF山本摩也選手がセンターバックの一角で加入後初先発を果たした。試合では、前半の7分にエースFW田中美南選手のゴールで先手を取ったINAC神戸だが、17分にPKで追い付かれると、その後は堅守速攻を徹底するハリマに苦戦。それでも、MF愛川陽菜選手を投入した後半、ペースを握ったWEリーグ初代女王は、56分(後半11分)、浜野選手の技ありループシュートで勝ち越しに成功。追加点こそなかったものの、リードを奪ってからは主導権を握り続け、そのまま2-1で勝ち切った。
番組ではこの試合の決勝点に注目。そのシーンでは、右センターバックに入った山本選手が起点となり縦へのフィードでチャンスを演出すると、相手DFの背後に走り込んだ田中選手が右サイドから中へ折り返し、最後はゴール前にいた浜野選手が相手GKの目前でループシュート。ボールはスローモーションのようにゆっくり弧を描きながらゴールへと吸い込まれた。
この一連の流れについて「全部が素晴らしかった!」という近藤は、次のように解説し、選手たちを絶賛する。
「CKも担当する山本選手はキックの精度が高く、フィードもコントロールが抜群。(得点のシーンでは山本選手が)ルックアップしたら田中選手が走り出していて、ピンポイントで田中選手のスピードが落ちないところにボールを落としていた」
「田中選手のコントロールも100点! えげつない(ほどいい)コントロールだった。後ろから来るボールを走り込みながらワンタッチで前に出すというのは、すごいなと。簡単にやってそうに見えるから、見ている人も一見、ナイスコントロールと思わないかもしれないが、あれはえげつなかったし、このコントロールで勝負があった。そこから田中選手は冷静に相手をひきつけて、相手の股の間を通して右クロス」
「そこからの浜野選手も(プレーの選択が)すさまじい(すごい)。俺だったら、DFも寄せているしGKも来ているから、ダイレクトでシュートを打っちゃっていたと思う。浜野選手にとっては、たぶん、田中選手のボールが自分の思っていたところよりもマイナスに来た。股を通したパスが、おそらく相手DFにちょっと当たって、コースが変わったから。それで、浜野選手もポジションを修正して(受けて)いたけど、ポジションを修正すると(普通は)余計にダイレクトでシュートを打ちたくなるもの。自分が思っているところだったら予想通りだから余裕を持ってイメージしてプレーできるけど、ちょっとずれることで、特にマイナス(のパス)になると、相手(DF)にも近くなるし、GKにとっては詰める時間もできるから」
「そのなかでもコントロールして、ループシュートを決めた。あのループシュートはやばいよ! 最初見たとき、相手に当たって上に行ってそのまま入ったのかなと一瞬思ったら、よく見るとコントロールして足に乗せて『ひょいっ』と上げるものだった。ループシュートのなかでもちょっと格が高いものというか、チップキックやインステップでちょっと蹴って浮かせたシュートではなく、明らかに足にひっかけて浮かせてゴールを決めるというもの。あれを、あの場面で、しかもジャイアントキリングを起こされるかもしれないというこの大会でやれるかというのがびびった(驚いた)」
今後が楽しみな浜野選手らの活躍もあり、昨シーズンの皇后杯初戦敗退という悔しさを晴らし、カップウイナー奪還へ一歩前進した、INAC神戸。皇后杯の次戦となる準々決勝は、来年(2023年)1月15日(日)。昨年度の覇者・三菱重工浦和レッズレディースと対戦することが決まっている(会場はカンセキスタジアムとちぎ)。
また、INAC神戸は年末年始に「2022-23 Yogibo WEリーグ」の2試合をホームのノエビアスタジアム神戸で行う。12月25日(日)の第7節、今年最後となる公式戦ではAC長野パルセイロ・レディースと対戦。新年最初の試合となる第8節、2023年1月8日(日)午前10時30分キックオフの一戦では、アルビレックス新潟を迎え撃つ。なお、同日の同会場では、午後に第31回全日本高等学校女子サッカー選手権大会決勝も予定されている。