特殊詐欺事件の被害が深刻だ。兵庫県警・特殊詐欺特別捜査隊によると、兵庫県内で2022年に確認された被害総額は約18億円(速報値)。過去最悪の被害額となった2013年の約20億円には及ばないものの、依然「高止まり」傾向にある。また件数は1060件(速報値)と、統計が残る2004年以降で2番目に多かった。
警察庁によると、全国の被害総額も2022年1~11月で約316億円(速報値)と前年を上回り、8年ぶりに増加傾向にある。
■原則上限30万円、組織壊滅に結びつけば100万円の情報料
こうした状況を踏まえ、兵庫県警は「特殊詐欺情報提供制度」を始める。運用は2023年2月を予定している。
不審な電話を頻繁にかける「掛け子」や現金を受け取る「受け子」、指名手配被疑者に似た人物に関する情報などをホームページや郵送で幅広く募る。
情報提供は兵庫県内で被害が確認された事件が対象で、摘発につながった内容については情報料として上限30万円を支払う。
また、犯行グループの指示役(中枢人物)や犯行拠点(アジト)などに関連し、グループの壊滅に直結する有力な情報には最高で100万円を支払う。
■実態解明→摘発→犯罪収益はく奪、捜査の主眼に
特殊詐欺事件の捜査で情報料を払う取り組みは全国の警察で初めて。兵庫県警はこの制度の運用に向け、2023年度予算に300万円を計上する見込み。
特殊詐欺犯行グループは、水面下での活動だけに、検挙した末端の容疑者の秘匿性が非常に高いのが特徴。特別捜査隊は 「特殊詐欺捜査はグループの実態解明と、犯罪収益のはく奪が主眼となる。皆さまから寄せられた情報を最大限に生かしたい」としている。