林歳彦氏(会社経営者・環境活動家)と、フリーアナウンサーの田中大貴(元フジテレビアナウンサー)がパーソナリティーを務めるラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2023年1月2日放送回に、ボランティア団体「ユニスク」代表の内藤明さんがゲストとして登場。沖縄・石垣島でサンゴ、サンゴ礁に魅せられた思いや、その保全に取り組む様子などについて話を聞いた。
東京都町田市出身の内藤さんは、約20年前に石垣島に移住。きっかけは南の島が大好きだったという祖父から、「高校を卒業したらどうする? 僕らは移住するけど、おまえは一緒に来るか? それとも大学に行くか?」という二択をせまられたことだったという。「おもしろそうだったので、ついていきました。自分も(南の島への)憧れがあったので、あったかいところに行ってみたいなと、海もきれいだろうなと、その思いだけでしたね」。
石垣島では当初、土木工事の仕事や「夏場はダイビングの店やシュノーケルのお店などで何年かアルバイトをしていた」という内藤さん。その後、ツアーガイドの仕事を始め、「エコツアーりんぱな」では石垣島の海や森など自然の豊かさを伝えてきた。2018年にはボランティア団体「ユニスク」を立ち上げ、サンゴ礁の保全活動に尽力。そして、最近では「よりサンゴの活動に夢中になろう」と、新たに一般社団法人島結び(申請予定)を設立する。
石垣島で、海を守る「すごく大事な生き物」に魅せられた内藤さん。サンゴの魅力を次のように語る。
「サンゴというのは、よく石や植物などいろんな言い方をされますが、本当は生きている動物なんです。栄養もたっぷり出すので、それを求めて魚が集まってきたり、そのサンゴの中に隠れる魚がいたり……。そんな生き物ですが、サンゴ礁はどんどん豊かになったり、逆になくなったりすることもあるんです。なくなって、それが岩盤になるので、その岩盤がうわーっと上がってきて陸地になるというのを昔から繰り返しています。宮古島や伊良部島などは、サンゴがそのまま島に持ちあがって島になったと言われています。そんな、人とのつながりもすごく深い動物であり、それだけ大きくなるので、宇宙から見える唯一の動物とも言われてます」
日本では沖縄など南の温暖な地域の海に生息しているサンゴ。そのサンゴが長い時間をかけてつくっているのがサンゴ礁だが、世界でみると、総面積は60万平方キロメートル、地球表面のわずか0.1パーセントにすぎないという(※データは水産庁ホームページより引用)。「南の方に住んでいるとサンゴがいて当たり前な環境なんですが、実はすごく珍しいところに、僕らは住んでいるんです」と内藤さん。だからこそ、サンゴのよさを改めて力説する。
「サンゴの何がすごいかというと、その0.1~0.2パーセントの中に、海全部に住んでいる生き物の4分の1が暮らしている、依存していると言われています。それだけエネルギーをいっぱい出してくれて、豊かにしてくれて、まさに海の豊かさの代名詞とも言えるんですけど、だからなくてはならないすごく大事な生き物だなと、僕は思っています」
サンゴは海を守るだけでなく、人の生活にも関わるものだという内藤さん。特に沖縄では、畑の中にあるサンゴからできた岩を砕いたものを石垣にして積んで民家が作られていたり、高波からサンゴが島を守ってくれたり、サンゴ礁が新薬づくりの役に立ったりしているという。「これからどんどん守らないと、僕ら人間の生活もちょっとずつ変わってしまうような、すごく大事な生きもの」だと、内藤さんはサンゴ、サンゴ礁の保全の重要性を訴える。
そのなかで、内藤さんたちは2018年頃から、海の中で自然に分解されるネットを開発した企業と提携して、ネットの上にサンゴをつけてサンゴを増やしていくという試験を、特別な許可を得て行っている。また、海に流れてくるサンゴをキャッチして集めるなど「人為的に広げていくのではなく、自然の力を借りてというか、自然らしいままで増やしていこうよというやり方」も模索しているという。
「(サンゴは)命の宝庫。魚がいっぱいいて、また景色もカラフルですごいきれいで。いろんな色がありますから」と語る内藤さん。今年の抱負として、「まずは、このたび立ち上げる法人をしっかりと運営していきたいなと思います。あとは、いろんな人にサンゴのことを伝えて、みんなで海のことを守れるようにできたらいいなと思っています」とコメント。「僕の大好きな言葉に、『この海は親から譲り受けたものじゃなくて、子どもから借りているものだよ』という言葉がありますが、もっと(海を)豊かにして子どもたちにつないでいくということをやっていきたいですね。そのうえで、サンゴはすべての基盤になっていると思います」と、海を、サンゴを守るべく、熱い思いを述べていた。