兵庫県警は2023年度から、SNSで特殊詐欺の「闇バイト」を募集する投稿について、AI(人工知能)で自動検出するシステムを導入する。全国の警察で初の取り組み。
さまざまな手口で被害者に忍び寄る特殊詐欺。犯行グループは、サイバー空間でメッセージが拡散しやすいツイッターなどを使い、現金を受け取る「受け子」や、現金を引き出す「出し子」を募っている。
兵庫県警・特殊詐欺特別捜査隊によると、兵庫県内で2022年に確認された被害総額は約18億円(速報値)。過去最悪の被害額となった2013年の約20億円には及ばないものの、依然「高止まり」傾向にある。また件数は1060件(速報値)と、統計が残る2004年以降で2番目に多かった。
兵庫県警では以前から、専門の捜査員がインターネット上の違法サイトや有害な情報をチェック、摘発するサイバーパトロールを行っている。
ツイッターなどのSNSについても、「闇バイト」募集など不審な投稿を発見すると、「こんな投稿には関わるな」「いいように利用されて捨てられる」などと警告文を送り、多くのアカウントを削除に追い込んでいる。発見された不審な投稿は年間100件にのぼるが、これらの業務はすべて手作業だった。
こうしたことから効率面での改善が求められ、兵庫県警は2023年度予算に約290万円を計上し、AIを導入する。
自動検出システムは、AIが「闇バイト」「高収入」「副業」などの言葉を含む投稿を抽出し、捜査員がチェックして、特殊詐欺グループの投稿の疑いがあると判断した場合に警告文を送るという。
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警察庁は3月1日から、SNSを含むインターネット上の違法で有害な情報を把握し、削除対象を広げる。具体的には▼爆発物・銃器の製造▼殺人▼強盗▼臓器・人身売買▼ストーカー行為など生命・身体に危害を加える犯罪を盛り込み、削除要請の対象にする。
関東から西日本にかけて連続発生した強盗事件では、主にSNSを通じて犯行グループの実行役を募ったとされることから、捜査当局は今後、こうした「闇バイト」募集にも監視の目を広げる。