兵庫県は7日、今年度よりおよそ300億円多い、総額4兆2,782億円にのぼる2023年度の当初予算案を発表しました。総額が前の年度を上回るのは2年ぶりです。
基本的な経費の規模を示す「一般会計」は、新型コロナウイルス対策に使う国からの交付金や、コロナの影響を受ける事業者の資金繰りを支援するための「中小企業制度貸付金」が減り、2兆3597億円と2年続けて減少しましたが、22年度とほぼ同水準です。県税による収入は、企業の業績が堅調なことや輸入額が増えたことに後押しされ、初めて9000億円を超えました。
23年度は、新型コロナウイルス対策を最優先の課題と位置づけた22年度から転じて、ポストコロナ社会の基盤づくりや、2025年の大阪・関西万博を見据えた事業に重点的に取り組みます。
特に瀬戸内のベイエリア地域を舞台に、水素関連などの新しいエネルギーや、空飛ぶクルマをはじめとする航空産業などの成長産業分野へ重点的な投資を促します。
教育の分野では、6年間であわせて300億円を投じ、老朽化が進む県立学校で教室や体育館の空調を整備するなど、環境を充実させます。
また、若者に県内で就職し、その後定着してもらおうと、中小企業などと連携した新たな奨学金返済支援制度を設け、就職してからの5年間は本人の返済負担額をゼロにします。 そのほか、若手の起業家らを対象にスタートアップ支援をさらに強化し、県内の地域課題の解決を目指します。
斎藤知事は、この予算案を『新時代挑戦予算』と名付け、「1年間を通して現場を回り、課題解決に向けた対話を重ねてきた。時代が変わりつつある局面を切り開いていく予算だ」などと説明しました。
なお、収入と支出の均衡は5年続けて達成していますが、 2028年度までの収支不足の総額はこれまでの140億円から255億円に大きく膨らむ見通しで、厳しい財政運営が続きそうです。
この当初予算案は、13日からの2月県議会で審議されます。