個人情報の流出に細心の注意を払わねばならない昨今、神戸市須磨区にある『株式会社トータルリンク』では、去年から新しく“重要資産管理システム”をスタートさせた。同社は世界でトップシェアを誇るイギリスの大手金庫メーカーと、日本国内で唯一取引を行う。
同社の創業は10年前。当初はビジネスホンなどの通信機器を扱い、中小企業にネットワークやインフラ整備を提供していた。しかし、コロナ禍でビジネスホンの需要が減少、新しい事業に着手したのが重要資産管理システムだった。代表取締役の岡井淳さんに、詳しく話を聞いた。
「イギリスの大手金庫メーカーが日本で管理装置の販売をスタートするにあたり取引先を探していたんです。その時、とある縁があってお声がけをいただきました」(岡井さん)
岡井さんはネットワークに関する知識を元々持っていたので、話が持ち上がった際「扱うのに適した商品である」と判断し、事業をスタートさせた。
同社が扱うのは「鍵の管理装置」と「ロッカー管理装置」。企業にとって重要な機器や業務に使うツールを、システムで厳密に管理する。具体的に言うと「誰が」「いつ」「何を」利用したのかという履歴を自動的に残したり、利用権限の付与を制限したりすることができる。
「何らかのトラブルが発生したとき、誰がいつ鍵を持っていったのかがわからないと原因究明が困難になります。トラブルの原因や使用者に対しての説明責任を明確にできるのが大きな特徴です」(岡井さん)
岡井さんが圧倒的な強みとして挙げたのは、“企業規模に関わらず導入できる”ということ。鍵管理装置は最大で720本の鍵管理が可能。さらにシステム上では無制限に管理・設定が可能だ。
もうひとつの商材であるロッカーは、ノートパソコンや警察や消防で使われる無線機・拳銃などの管理ができる。アイテムの一つひとつにIDが付与され、ロッカーの開け閉めだけでなく「いつ持ち出されたのか」「適切な場所に返却されたのか」を完全に可視化する。
「最近では個人情報の保護の観点からノートパソコンの管理にくわえ、メーカー自体が自社商品の研究データを守るという目的で当社のロッカーにニーズが集まっています」(岡井さん)
企業や官公庁など大きな組織に提案を行っているそうだが、それ以外の企業や機関からも毎週のように問い合わせがあり営業担当が日本全国を飛びまわる“引く手あまた”な状況が続いている。「人とのつながりで新しく事業をスタートさせることができた」と岡井さんは言う。コロナ禍という厳しい状況であっても、こうした関係性を大切にしていくことで新しい出会いやビジネスが生まれると改めて実感したのだそう。これからについて聞くと、「重要資産管理ソリューションを多くの企業に知ってもらうことが大切」と話していた。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年2月7日放送回より
◆株式会社トータルリンク
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