日本最大級の総合美術展である日展=日本美術展覧会が、神戸市内で開催されている。神戸で日展が開催されるのは54年ぶりで、日本を代表する芸術家による作品と兵庫・大阪・奈良・和歌山の地元作家の入選作品、合わせて534点を一堂に展示する。2023年3月26日(日)まで。
日展は1907(明治40)年に開催された第1回文展(文部省美術展覧会)に始まり、帝展(帝国美術院美術展覧会)を経て、戦後、日本美術展覧会となった。日本最大の総合美術展で、現在は日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5つの部門からなる。例年秋に東京展が開催され、その後、国内主要都市で巡回展が開催される。神戸に日展がやってくるのは54年ぶり。近畿では年末年始に京都、春には大阪で開催されることが多かったが、大阪会場の大阪市立美術館では2025年の大阪・関西万博に合わせ改修工事が始まったことから、神戸の芸術都市・六甲アイランドでの開催が決まった。
会場となった神戸ゆかりの美術館と神戸ファッション美術館には、日展の大家の作品と入賞作品によって構成された基本作品と、兵庫・大阪、奈良、和歌山に在住する作家の今年度の入選作品を加えた総数534点が並ぶ。神戸市立小磯記念美術館・神戸ゆかりの美術館館長の岡泰正さんは「文化勲章を受章している人から初受賞の人、年齢を重ねた人から大学生まで、さまざまな人の作品が同じフロアに並び、一堂に鑑賞できる美術展」だという。
今回、日本画の外部審査員をつとめたという岡さんは「制作された時期は、コロナとかウクライナ侵攻が大きなニュースになっていて、平和や平穏への思いを込めた作品が多かった」と話す。
また「最近の傾向として、超写実で細密な表現がある」という。渡邊裕公の「時を超えて」はすべてボールペンで、細部まで細かく描かれている。
「ルームウェア」という作品で初出品し初入選したのは大学生の酒井華。「彫刻作品は平らな台の上にのっているが、枕(の彫刻)の上に載っている。そのバランスは質感がよい」と岡館長。