兵庫県警は2023年春、2328人の定期異動を行う。全階級、一斉に3月24日に発令されるが、警察署副署長などの先行配置や自治体への出向者の復帰などを含め、4月1日までに3回に分けて発令される。
定期異動に伴う主な組織改編は次の通り。
■サイバー空間の脅威に対応
2020年9月に発足した「サイバーセキュリティ・捜査高度化センター(CSISセンター)」の機能を強化する。
CSISはCyber Security investigation Sophistication の略。既存の生活安全部・サイバー犯罪対策課を発展的に解消し、サイバー企画課(38人)とサイバー捜査課(54人)を新たに設置。サイバーセキュリティー対策や捜査体制を強化する。
■捜査一課に「児童虐待捜査係」新設
家庭内での「密室犯罪」とされる児童虐待の専従チームを刑事部・捜査一課に設ける。兵庫県内の児童相談所で受理した2021年度の児童虐待相談件数は9412件と過去最多に。
相談件数の増加は、相談体制が充実し、虐待を見逃さないシステムが構築されたという見方もあるが、家庭内という密室での虐待行為に対する裏付け捜査が非常に困難なケースが数多く報告されている。
被害児童(乳児)が死亡した場合、虐待行為との因果関係の検証が特に重要となるため、、専従チームの捜査員が専門性のスキルを高めることが求められる。さらに、児童相談所などとの連携を強化する。
■警衛警護体制の強化
2022年7月に奈良市で起きた安倍晋三元首相銃撃事件を受け、警察庁と連携して組織的、計画的な警備計画を策定する「警衛警護室」を警備部警備課に設置(警備上の理由で人数は非公表)。
■女性幹部の登用
兵庫県警の地元採用女性警察官では、これまでに幹部として警察署長3人、副署長3人、女性所属長4人が起用されている。。今回の人事異動で、芦屋警察署長(警視)を本部・生活安全部のナンバー2の参事官(生活安全企画課長)に起用する。さらに、いずれも警視に昇格した本部・警務課補佐を明石警察署生活安全官に、CSISセンター長補佐を東灘警察署刑事生活安全官として配置する。
兵庫県警では、女性警察官(1310人・23年4月1日見込み)が全体に占める割合は11%と、前年同期の10.4%から微増。2026年には12%台まで引き上げたいとしている。
このほか、特殊詐欺根絶、暴力団壊滅、外国人組織犯罪に向けた体制をさらに強化する。
■警察署長、32署で交代
兵庫県内46の警察署のうち約7割の32署で署長が交代する。
※署長が交代する警察署
《神戸》生田・兵庫・須磨・垂水・神戸西・神戸北・有馬
《阪神》尼崎南・尼崎東・尼崎北・西宮・甲子園・芦屋・川西・三田・篠山
《東播・北播》明石・加古川・三木・小野・加東・加西
《姫路》姫路・飾磨・網干
《西播》福崎・相生・宍粟
《淡路》洲本・南あわじ
《但馬》豊岡・美方