女子サッカーの2019プレナスなでしこリーグ1部第17節が10月27日に行われ、INAC神戸レオネッサはジェフユナイテッド市原・千葉レディースを1-0と下し、ホーム今季最終戦を勝利で飾った。ヴィッセル神戸や水戸ホーリーホックなどで活躍した元Jリーガーで、現在はラジオパーソナリティーなどマルチに活動する近藤岳登は、この一戦について、ラジオのINAC神戸応援番組『カンピオーネ!レオネッサ』(ラジオ関西)のなかで、岩渕真奈の決勝ゴールをピックアップ。「天性のセンス、世界でもトップレベル、女性版メッシのよう」と大絶賛。同じくパーソナリティーの赤﨑夏実、寺田光もこのプレーのすごさを実感していた。
INAC神戸応援番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』10月28日の放送で展開されたサッカー解説コーナー「ガクト’s 愛(GAKUTO’s EYE)」。今回は決勝点となった前半37分の岩渕真奈のゴールを、岳登流でプレイバックした。
開口一番「岩渕がすごかった」から始まった、近藤の解説。「決勝点の前までは、どちらかというとパサーとして、ラストパスを出すことが多く、直前にも京川舞にスルーパスを出してチャンスを作っていた。そのときの京川と同じようなポジションからゴールを決めたので、『舞ちゃん、ゴールはこう決めるんだよ』と、教えたかのようなゴールだった」。
プレーのなかでは、岩渕の視野の広さと、天性のセンスがゴールにつながったと、近藤は評する。
「千葉Lの4人(の守備陣)を1人で相手していた。しかも、正面、後ろ、左前、右前からも来ていたが、そこでも岩渕は視野が本当に広く落ち着いていた。そして、一番スペースがあった右側を(ドリブルでいく)選択をしていたが、相手の左SBだけちょっと距離があったのは確か。そこで、『裏街道』とよくいわれる、相手の逆をとりながら、ボールを蹴ってかわす(一人スルーパスのような)プレーをした。あれは俺も現役時代1回もしたことがないと思う……(苦笑)。さらに、岩渕のすごさは、しっかりドリブルに緩急をつけられること。こういうのは、大久保嘉人(ジュビロ磐田)、(リオネル)メッシ(FCバルセロナ)、クリロナ(クリスティアーノ・ロナウド/ユベントス)とかもそう。余力を残しながらプレーするのは難しいところを、ちょっと(力を)抜いた状態で入り、最後にマックスで加速。そうすると、相手も止められない。それができるのは天性のもの。彼女はそのセンスが抜群であり、女子ならメッシクラス」
さらに、その岩渕のゴールにつながったのが、右SB髙瀬愛実の積極的な攻撃参加だったと近藤は観る。「髙瀬から何本もガンガン、クロスが入っていた。だから、相手左SBは髙瀬が気になっていて、ライン際にポジションをとらざるを得ない。相手はそこまで考えていなかったかもだけど、意識的にポジショニングが外になり、そこでちょっとだけ開いていたスペースを岩渕はあのタイミングで使った。そのあたりの見え方は『習慣』で生まれるもの。これはまじですごい!」
そして、「あの(岩渕のゴールが生まれたような)状況を、各個人選手やチームが、自分たちで作りだしていけるかが、これからのINAC神戸に必要」と近藤は説く。「今は、たぶん個々の高い能力だけでプレーしている。相手が2人がかりで(守備に)来たり、ガチガチに守ってきたりすると、崩せなくなっていた(ことが多かった)」という課題があったなか、「サイドからクロスを入れ続けたら、相手のSBが気にして、中が空く。中からどんどん行ったら、相手が中に絞りだすから、今度は外が空いてくる。そういう状況を意図的に選手ができるか、作り出せるか、そういう戦術眼がINAC神戸全体に、絶対に必要。それができるようになれば、INAC神戸は絶対に強いし、そういう戦術眼をもっとチーム全員が共有して、一人ひとりがいま、どういう状況かをイメージしながらプレーできると、強くなるし、皇后杯は獲れるはず」と、岩渕のゴールが生まれたプレーを全体で共有することこそ、タイトル奪取につながるとコメントした。
最後には「そういったプレーをイメージして、リーグ最終節、そして、皇后杯を戦ってほしいし、皇后杯を優勝したら、岳登にもなんかマージンが入ればいいな」と個人的希望も話した近藤だったが、そこはパートナーの赤﨑に「それはあげない、ダメ!」と一喝されていた。
●寺田光、INAC神戸GK武仲に驚愕!「スパンッとボールをとめるプレーが本当にすごかった」
INAC神戸のホーム最終戦を生観戦した舞台女優の寺田光は、「岩渕選手のスルっと抜けていくプレー、そして、武仲(麗依)選手のスパンッとボールを止めるプレーが本当にすごかったし、びっくりした」と感想をコメント。レオネッサの選手たちの高い技術に見惚れていたようだった。