「タイパ」「リアコ」「ヌン活」など、日々生まれる若者言葉や略語。最近に限ったことではなく、いつの時代も若者は新しい言葉を生み出しています。シンガーソングライターの近藤夏子と春名優輝アナウンサーが、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『Clip』(ラジオ関西、月-木午後2時30分~)で「気になる若者言葉」について話しました。
「マジ卍」「激おこぷんぷん丸」「〜なう」「MK5」「チョベリグ」など、それぞれの時代で生まれた若者言葉。流行り言葉で終わらずその後も定着し使われ続けている言葉もあれば、時代の移り変わりとともに「死語」と呼ばれるようになった言葉、意味やニュアンスが変わって使われている言葉などさまざまです。
たとえば、7〜8年前から使われるようになった「ワンチャン」という言葉。「一度の機会」を意味する「one chance(ワンチャンス)」の略ですが、もともとは「一度のチャンスをつかめれば逆転できる」という状況を指す麻雀用語として使われていました。その後は「もしかしたら」「たぶん」など、より幅広い意味を含んだ便利な言葉として使われるように。
しかし、ほかに「ワンナイトラブ」「一夜をともに過ごせるチャンス」といった下ネタ要素を含んだ言葉としても使われているため、リスナーのなかには「あまりいいイメージはない」と感じている人もいるよう。近藤も「もともときれいな言葉の印象がなく、軽いイメージだった」と話しました。
リスナーから寄せられたのは、「アルバイト」を省略した「バ」という若者言葉。「バ先(=バイト先)」「バム(=バイトに向かう)」などと略して使うそうですが、「この前バ先で……」と会話のなかで使われたもののまったく理解できなかったといいます。これについては、パーソナリティの2人も「『今からバイトに行く』でいいんじゃないの?」「手がつけられない」と理解できない様子でした。
ほかに、学生がよく使うといわれているのが「ガクチカ」という言葉。これは「学生時代に力を入れていたこと」という、就職活動の面接での定番の質問を意味するのだそう。就職活動の相談に乗っている際に「みんなガクチカを考えるのに必死で……」といわれたリスナーは、「もはや呪文を唱えられているようでした」と驚きを隠せなかったといいます。
ほかにも、最近の若者から幅広い意味で使われすぎていると挙がったのが「ヤバイ」「しんどい」という言葉。「しんどい」とは、もともと「疲れた」「つらい」などネガティブな意味の関西弁でしたが、最近は推しのアイドルやキャラクターを褒めるときに「ビジュよすぎ! しんどい!」などで使われます。この場合は「ビジュアルがよすぎて、耐えられないくらい好き!」というポジティブな意味で使われているため、会話の流れなどから意味を理解する必要があるのです。
別のリスナーからは「娘からの返事で多いのが『それな』です」というメールが寄せられました。そこには「会話が途切れることが多く、話を続けるために一生懸命しゃべっていたのですが、たまたまネットで調べたところ『それな』は『会話を早く終わらせたい』という意味合いでした。さみしさしか感じません」と、なんとも悲しいエピソードがつづられていました。
リスナーからのメッセージにあった通り、「それな」は相手の発言や意見に対して「まさに!」と相づちを打つときに使用される若者言葉です。「それそれ!」「その通り!」と同意の旨を伝えるニュアンスが近いのですが、会話を早く終わらせたいときの適当な相づちとしても使われるため、相手の態度を見て判断する必要がありそうです。
※ラジオ関西『Clip月曜日』2023年3月27日放送回より