会場に並ぶポスターや絵画、椅子にテレビなどなど。果たしてこれはデザインなのか、アートなのか?デザインとアートの境界や「重なりしろ」を、考えながら展示を巡る「デザインに恋したアート・アートに嫉妬したデザイン」展が、大阪中之島美術館で開催されている。2023年6月18日(日)まで。
デザインという言葉が身近になったのは戦後のこと。半世紀以上が経った今、その領域を大きく広げている。また、美術からアートへと言葉が変化するのに伴い、アートは従来の世界を越えた表現を展開している。
大阪中之島美術館は30数年前に構想がスタートした当時からデザインとアートを2つの柱に据えており、今展では戦後の1950年代から2010年代までの多彩なデザイナーやアーティストの成果を追いながら、デザインとアートの関係に注目した。
会場に並ぶのは、70人の作家の作品110点。作者とタイトルは示されているが、解説はない。見る人が、これはアートなのかデザインなのか、作品と対話をしながら考える。
例えば、椅子。「単なる椅子」にしか見えない人がいる一方で、美術館に所蔵されている作品だと気づく人もいる。デザインが話題になった携帯電話は、今ではアートと捉える人もいる。見る人が、デザインなのかアートなのか、その度合いをその場で答えながら、展示を巡っていく。
そして最後の部屋で、「答え合わせ」のように、その時の来場者がどのように感じたのか、結果を知る仕組みになっている。