18年前、神戸市立小学校で当時5年生だった男性が、同級生から暴行やたかりなどを受けた問題で、市教育委員会の第三者委員会は11日、最終報告書をまとめ、公表しました。
報告書では、「被害児童が弱い立場にあったことは明らかで、暴行行為やたかり行為が、一方的、継続的になされたこと、被害児童が深刻な苦痛を感じていたことは明らかだ」などと指摘し、いじめがあったと認定。また、当時の関連資料を市教委が長年開示してこなかったことは、「継続的な隠蔽行為であると評価されても仕方ない」としました。
これを受け、一貫して「いじめ」を認めてこなかった市教委は同日の会見で、いじめがあった事実を初めて正式に認め、「調査結果を重く受け止める。当時の姿勢は消極的であったと言わざるを得ない」などと謝罪しました。一方で、「故意に隠蔽を行ったとは考えていない。一部認識が異なる部分があり、今後精査する」とも話しました。
男性は2005~06年、複数の同級生から暴力を受けたり、7人に現金約50万円を脅し取られるなどし、ほかの学校に転校しました。被害者側はいじめを認めなかった同級生3人の保護者らを相手取った訴訟を起こし、いじめを認める判決が09年に大阪高裁で確定しています。しかし、市教委は「保護者の要望で、被害者本人からの聞き取りが十分にできていない」などと主張し、その後もいじめと認めていませんでした。
第三者委は、被害者側がいじめを隠蔽したことを認めるよう陳情したことで2020年に設置され、21年には市教委が「存在しない」としてきた、本人からの聞き取り内容を含めた資料が突然公開されるなどしました。調査にかかる経費は約4千万円に上っています。
被害男性やその父親は12日朝に会見し、「まずは前に出てきて説明をして、その中で非があるとするなら謝ってほしい」などと話しました。その後、市長や教育長宛に、面談を求める要望書などを提出しました。