【神戸・長田】地球の課題に向き合うシューズ加工会社 環境に優しい粘着剤を使った新たな加工技術とは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

【神戸・長田】地球の課題に向き合うシューズ加工会社 環境に優しい粘着剤を使った新たな加工技術とは

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 靴のまちとして知られる神戸市長田区。ここで1967年に創業し、長らくケミカルシューズの製造を支えてきた会社が『共和化成株式会社』だ。従来はケミカルシューズを中心としていたが、このたび事業領域を新たな分野に広げているという。代表取締役の永瀬文雄さんに話を聞いた。

 同社はケミカルシューズの中敷きとして使われる合成皮革に粘着加工(セパレート加工)を施すことによって当時の長田では革新的なアイデアとして重宝され、長らくケミカルシューズの製造を支えてきた。関西では同社が最初にこの粘着加工技術を生み出したそうだ。

共和化成株式会社の代表取締役・永瀬文雄さん
共和化成株式会社の代表取締役・永瀬文雄さん

 去年、創業者である永瀬さんの父親が亡くなった。「親父の顔を潰さないように、支援いただいている金融機関、仕入先、取引先の皆様に恩返しをしていきたい」と永瀬さん。そんな永瀬さんが今年の2月に導入したのが商標登録もされている「スパイダーメルト」という技術だ。これまで通常の粘着加工では通気性を持たせることはできなかったが、無溶剤のホットメルト(粘着剤・接着剤)を蜘蛛の巣状に塗布することによって、通気性を持たせた粘着加工を可能にする技術で、全国に2台しかない機械だという。

共和化成株式会社の外観
共和化成株式会社の外観

 導入のきっかけは「環境問題」。さまざまな課題がクローズアップされている中で、“環境に優しい無溶剤”に注目した。フィルターや網戸、断熱材、三次元マスクなど多岐にわたる製品に採用されている。つけるだけではなくはがす技術も持っているため、汚れたらはがして新たにつけることにより換気扇などを掃除しなくて済むようになるという。塗布形状を工夫することにより通気性のほか、透湿性も付加することができる。テーピングにおいても蜘蛛の巣上に塗布することにより通気性をよくし、かぶれをなくすというテストを行っているのだそうだ。永瀬さんは「この加工により新たな付加価値が付けられるという点をPRし、精力的に発信を行って全国から様々な話がもらえている状況」と語る。

 同社は「くっつく技術で明日を作る」というスローガンを掲げる。これは強みである粘着技術を活かして、将来にわたって快適で健康な生活に貢献していくという企業姿勢を表現している。永瀬さんは「新しい価値を創造し続け、これから100周年を目指して頑張っていきたい」と締めくくった。

共和化成株式会社(神戸市長田区)の代表取締役・永瀬文雄さん(写真左)とラジオ関西パーソナリティの三上公也氏
共和化成株式会社(神戸市長田区)の代表取締役・永瀬文雄さん(写真左)とラジオ関西パーソナリティの三上公也氏

※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年5月23日放送回より

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