雨の日が多く、足元の悪い季節。うっかりお気に入りのスニーカーを汚してしまうことも……。洗いたくてもなかなか乾かなくて面倒! そんな人たちの救世主になりそうなのがクリーニング店です。近年、スニーカーを取り扱う店が増えています。
神戸のインスタグラマー・ウラリエさんは、母の勧めで試してみたところ、シューズがピカピカで返ってきて感動したほどだとか。インスタグラムに投稿すると「知らなかった!」「試してみたい」と多くの反響があったそうです。
国内のスニーカークリーニングの火付け役となったとされるのが、兵庫県神戸市に本社を置くクリーニングチェーン「ホームドライ」です。関西に78店舗を構え、現在も、スニーカークリーニング文化を広める活動に取り組んでいるといいます。同社常務の太白(たいはく)さんに、靴をキレイにする技術や手ごろな価格設定のワケ、さらに、洗ったスニーカーを良好な状態に保つコツを聞きました。
■プロならではのスニーカークリーニング特化技術 専用の乾燥機も
ホームドライのスニーカー専門のコースでは、料金550円とリーズナブルながら、プロの技術により汚れを隅々まで落とし、スニーカーを新品同様の状態までキレイにするといいます。
クリーニング時には、洗濯機に特殊なシリコンボールを入れて洗います。スニーカー同士がぶつかり型崩れするのを防ぎつつ、凹凸がブラシの役割を果たし、細かい部分までしっかり汚れを落とすのだそう。また、専用の洗剤を使用するため、白い靴はより白く、色柄物のスニーカーは色落ちせずに洗うことができるとのことです。
加えて、枝が何本も生えた木のような円柱型のスニーカー専用乾燥機を使用。枝のような部分にスニーカーをセットして常温の風を靴の中に送るため、速乾を叶えると同時に、革やゴムが傷んだり縮んだりする心配もないといいます。
■“ワンコイン”作戦のワケ
スニーカークリーニングの技術は韓国発祥。それを日本で本格的に取り入れたのが、ホームドライだそうです。2016年頃、韓国のクリーニング業者が見学に来た際、「日本の技術はすごい! でもなぜスニーカークリーニングをしないの?」と聞かれたのだとか。当時は「靴は家で洗うもの」という考えが定着しており、取り入れても恐らく需要がないと考えていたと。太白さんは話します。
そこで、まずはコースを安価に設定。多くの人に体験してもらい、日本でも文化として定着させることを試みたそう。また、自社だけでなく、展示会などでパワーポイント・動画などを用いて、北海道から沖縄までのクリーニング店100~200社に無償で技術を伝授。現在もスニーカークリーニング文化を広めるための活動を行っているとのことです。
■洗ったスニーカー 良好な状態を保つなら「履いて」
太白さんは、スニーカーを良好な状態に保つ一番の方法は、とにかく「履く」こととと言います。靴箱にしまいこんでしまうと、高温多湿な環境となり菌が発生しやすく、底剥がれなどして傷みが進むのが早いのだとか。大切な靴こそ外へ履いて行って、新鮮な空気に触れさせることが大事なのだそうです。
お気に入りの靴こそ、たくさん履いて出かけたいもの。ワンコインでピカピカになるスニーカークリーニングは、お守りのような存在になるかもしれませんね。
(取材・文=みねほのか)
※ラジオ関西『Clip火曜日』2023年5月30日放送回より