神戸市西区の草むらで男児(6)の遺体が見つかった事件を受け、児童虐待防止に取り組むNPO法人「シンクキッズ」(東京都)が市に対し、虐待が疑われる場合は、児童相談所と警察とが情報をリアルタイムで共有できるシステムを整備するよう求める要望書を提出しました。
事件をめぐっては、男児の肩などに虐待を疑わせるあざがあり、長女が「子どもを一時保護してほしい」と話していたにも関わらず、市は家族の意向などにより一時保護を見送り、県警には情報が伝わっていませんでした。要望書では、今回の児相の対応を「虐待リスクの判断が極めて甘い上、縦割りの対応に終始したと指摘せざるを得ない」と指摘。虐待の疑いがあるすべての事案について、パソコンに入力することで児相と警察が必要な最新情報を共有し、家庭訪問などを速やかにおこなえるようにするよう求めました。
男児は、保護者が監護する(面倒をみる)ことが不適当な「要保護児童」と位置づけられていて、市は一連の対応が適切だったかどうか、第三者委員会を設けて検証する方針です。
◆「全件共有」県では7月にもスタート
独自に児相をもつ明石市と神戸市は、これまでも虐待に関する相談があれば、その全件を月ごとにまとめて県警に報告することにしていました。一方、兵庫県は、「子供の泣き声がする」などの軽微な事案はこれまで、相談が1回だけであれば県警と共有してきておらず、県はこうした体制を7月中にも改めます。県によると、2022年度に県が県警と共有した相談件数は約500件でしたが、体制を見直せば年間で10倍以上に増えるとみられています。
また、各市町が設置する「要保護児童対策地域協議会」の実務者会議に警察官が出席しない市町には、出席を働きかけることにしています。