明石市立文化博物館(兵庫県明石市)では、8月27日(日)まで、夏季特別展「安野光雅美術館コレクション 安野先生のふしぎな学校」を開催している。分かりやすい解説で好評のシリーズ「リモート・ミュージアム・トーク」を、このたびは武井二葉館長が担当。同展の2回目のトークとなる今回、武井館長が多彩な関連展示を紹介する。題して「博物館から図書館、町の書店へ」。
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夏季特別展「安野先生のふしぎな学校」に合わせ、明石市立文化博物館では特設展示「松居直と松居和、そしてその学校」(~8月27日)も実施しています。夏季特別展の入り口に掲示されている紹介文「ごあいさつ」にもあるように、安野は、福音館書店の松居直との出会いがきっかけで絵本作家としてデビューしました。そこで、松居直と、直の子で安野の教え子でもある松居和、安野が教鞭を執っていた明星学園に焦点を当て、彼らの本づくりをめぐる物語を紹介しています。
兵庫県立図書館では、安野のエッセイなどを紹介する「明石市立文化博物館×兵庫県立図書館 安野光雅のふしぎな世界」(~9月20日)を開催。数多くのエッセイからは、安野の人柄や考え方が伝わってきます。エッセイを読めば、きっともう一度、夏季特別展を見たくなることでしょう。
あかし市民図書館でも関連書籍を集め、『もりのえほん』をはじめとした安野の絵本を展示しています(7月19日~8月14日)。同作に登場する森の絵をじっと眺めていると、あちこちに動物たちがいるのが分かります。でも、すぐに見つけられるわけではありません。明石市立文化博物館に展示されている原画にじっと目を凝らしていると、足が疲れてくるかもしれません。そんなときは図書館で絵本を借りて、おうちでのんびりページを眺めるのがおすすめです。
そして、図書館の魅力は、お目当ての本だけでなく、たくさんの本の中から自分の好きなものを選べること。『もりのえほん』をきっかけに、さまざまな本に出合ってください。
また今回、町の書店にも広報の協力をお願いしました。そうしたら、ポスターやチラシ、SNSなどさまざまな手段で発信してくださいました。書店の中には、絵本の原画展などを開催されているところもあります。作家によるトークなどのイベントを開いていることもあります。お近くの書店でそのような機会があれば、足を運んでみてはいかがでしょうか。
最後は安野光雅のことばで、締めくくることにいたしましょう。
「本を読むことは、ひとりの仕事ですから、競争にはなりません。また、表面だけきれいにするお化粧に比べて、本を読んでいることは、ほかの人にはわかりません。けれども心の中は美しくなり、ひそかに誇りを持つことができるのです」。[『考える子ども』福音館書店、2018年]
(明石市立文化博物館館長・武井二葉)
◆明石市立文化博物館
夏季特別展 「安野光雅美術館コレクション 安野先生のふしぎな学校」
会期 2023年7月22日(土)〜8月27日(日)※会期中は無休
観覧料 大人1000円 大高生700円 中学生以下無料
事前申込制ギャラリートーク 1時間程度
5人以上の団体を対象とした無料ギャラリートークあり。利用希望日の10日前までに電話かFAXで申し込む。手話通訳・要約筆記希望の場合はその旨も伝える。
電話 078-918-5400
Fax 078-918-5409
【公式HP】