神戸市は、市内全域を対象にスマホでできる生物調査「夏休み生きものクエスト~神戸で夏の生きものさがし~」を実施中。調査へは、スマホアプリで対象の生き物を撮影し投稿するだけで参加が可能だ。環境保全につなげる市民参加型のイベントで、8月31日(木)まで開催される。
人口150万人を超える大都市でありながら、都市近郊には里山が広がる神戸市。豊かな自然とともに多種多様な生き物が存在する一方で、近年は外来生物や有害鳥獣が増えたことによる生態系被害なども問題となっている。それら生き物たちの生態系を調査するために開催されている同イベントでは、クワガタやトンボのほか、外来種のアカミミガメやアメリカザリガニなども含めた全15種が調査対象となっている。
◆対象生物
【外来生物5種】
アカミミガメ、アメリカザリガニ、ツヤハダゴマダラカミキリ、クビアカツヤカミキリ、キマダラカメムシ
【在来生物10種】
コクワガタ、ハグロトンボ、ヤマトタマムシ、キイトトンボ、オニヤンマ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ニホントカゲ、トノサマガエル、アカハライモリ
調査には、AIによって日本に生息するほぼすべての動植物約9万3千種を判定することができるスマホアプリ「Biome」を活用する。アプリ内の「判定」ボタンを押すとカメラが起動するため、生き物を撮影。この写真によって判定が行われる。同イベントでは、対象となる生き物4種を撮影することでクエストクリアとなる。
六甲アイランドでは、ツヤハダゴマダラカミキリと呼ばれる外来のカミキリムシが増えており、公園の樹木や街路樹などの樹木に卵を産みつけ、その幼虫が樹木を食べてしまうという食害が発生している。
ツヤハダゴマダラカミキリは中国が原産で、中国、朝鮮半島に自然分布しているほか、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリアなどに生息。国際自然保護連合(IUCN)が「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定していることでも知られる。日本固有種のカミキリムシであるゴマダラカミキリに非常によく似ているが、頭の下に白い紋がないなどの特徴で区別できる。
2021(令和3)年にはじめて神戸で発見されたツヤハダゴマダラカミキリは、昨年見つかったクビアカツヤカミキリ同様に樹木を食べて枯らせてしまう外来生物として対策が必要となっている。これら外来生物の増加によって在来生物が減ると、川が汚れるなどの自然被害にもつながる。
神戸市は、ツヤハダゴマダラカミキリを見かけたら、六甲アイランド情報交流センターに設置されている「カミキリポスト」に入れるよう呼びかけている。採集されたツヤハダゴマダラカミキリは神戸市が回収しており、昨年は162匹が回収された。さらに、「Biome」の調査には452人の参加があり、あわせて1152件の情報が集まった。
神戸市環境局・自然環境課長の岡田篤さんは「調査結果により得られた情報は、神戸市の生物多様性保全に活用する。子どもも大人も一緒に参加して、楽しみながら生物調査をしてほしい。生物に詳しくなくても、AIが判定し候補を絞り込んでくれるためかなり正確に調査ができるので、ぜひ一度試してほしい」と語った。
※ラジオ関西『サンデー神戸』2023年7月30日放送回より
【神戸市:スマホでできる生物調査をしてみませんか?~アプリを使って夏の生きもの探し~】
◇『サンデー神戸』
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