劇作家・演出家 平田オリザさんのラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、「出石永楽館」(兵庫・豊岡市)のスタッフ・福富紗也さんが出演。8月20日、同館にて開催予定の『第2回落語甲子園』について語った。
「出石永楽館」は、1902(明治34)年に開館した近畿最古の芝居小屋。歌舞伎をはじめ、新派劇や寄席などが上演され但馬の大衆文化の中心地として栄えたが、テレビの普及や娯楽の多様化により1964(昭和39)年に閉館。その後、かつての文化拠点を懐かしむ声を契機とした復元活動が約20年にもわたって行われ、2008(平成20)年に復活を遂げた。
現在は、歌舞伎俳優・片岡愛之助が座頭を務める『永楽館歌舞伎』や演劇、こども神楽などが上演されるほか、公演がない日には館内見学を行っており、“廻り舞台”や“奈落”などを実際に見ることができる。
芝居小屋復活後、「但馬の文化拠点を盛り上げていきたい」という思いからさまざまなプログラムが立ち上がった。そのなかのひとつが「落語」だ。2011(平成23)年、観光協会のメンバーを中心に「いずし落語笑学校」を設立。「出石のまちを笑いで元気に!」を合言葉に、素人ながらに稽古を重ねる日々が続いた。
2018(平成30)年には、但馬・丹波のアマチュア落語家らで結成された「たんたん落語会」「たんたん落語笑年団」とともに実行委員会を結成して『出石永楽館・全国こども落語大会』を開催。全国から多くの子どもが参加し、好評を博した。以降、回を重ね、今年6月には第6回大会を開催。ハイレベルで熱い落語会となった。
同大会の最年少参加者は、なんと5歳だったという。これを聞いた平田さんは「うちの子も5歳ですが、落語なんてできるの!? 練習させてみようかな」と興味津々の様子だ。
盛り上がりを見せるこども落語だが、同時に「中学を卒業しても落語をやりたい!」という声も多く挙がった。これを受けて昨年発足したのが、高校生を対象とした『落語甲子園』だ。今年は8月20日(日)の開催が予定されており、全国から集まった10人の高校生落語家が頂点を目指す。
希望があれば、「出囃子(でばやし)」や「はめもの(上方落語の途中に入れる下座の唄や合方)」を生演奏してもらえるとあって本格的。当日、全員の落語を聞いた観覧者は「審査員」としての参加も可能だ。
第2回開催を目前に、福富さんはこのようなコメントを残した。
「昔は観客席の列を『いろはにほへと』で表していました。なかでも、演者の“アラ”がみえやすい席が7~9列目あたりで、列表記が『と』『ち』『り』にあたることから『トチリ(ミス)』という言葉が生まれたそうです。当日は、審査員になるお客様にも芝居小屋ならではの空間を楽しんでもらいたいです」(福富さん)