アスリートやタレントらのマネジメントを行う会社の代表がラジオ番組に電話出演し、アスリートが現役引退後に進路を選ぶときに重要なことについて、持論を展開しました。
「日本のスポーツや文化に一石を投じる仕事がしたい」という思いを20代から抱き続け、活動の根本にしてきたというのは、マネジメント会社代表の岩越亮さんです。
もともとはプロ野球・楽天で、チーム立ち上げから7年にわたって広報に携わってきた岩越さん。球界再編という荒波の中で生まれた球団では、当時の社長だった島田亨さんをはじめとするメンバーとともに、「地域密着、強いチームを作るというのもあるが、健全経営と黒字化が1つテーマだった」と、プロ野球界の常識の見直しにも着手。球場と球団を一体で経営した楽天では、「しっかり球団に収入があり、そこから得られた収益をいろんなことに還元することができていった」そうで、これが、「スポーツとビジネスに関わることになったきっかけ」に。2011年、岩越さんは新たにマネジメント会社を立ち上げました。
会社を立ち上げて12年。その人脈や経験などをいかし、同社では現在、元WBC日本代表の岩村明憲氏（現、福島レッドホープス球団社長兼監督）や松田宣浩選手（現、巨人）ら野球界で活躍する人材をはじめ、バスケットボール日本代表の井上宗一郎選手（現、越谷アルファーズ）、東京五輪・ボクシング金メダリストの入江聖奈氏、格闘家の浅倉カンナ選手らと契約。さらに、タレントの山田邦子も同社に名を連ねています。阪神の監督に復帰するまでは岡田彰布氏のマネジメント業務も行っていました。
具体的なアスリートのマネジメント方法について「個人競技選手ならスポンサー獲得やメディア露出を仕掛けたり、格闘技選手ならファイトマネーの交渉、野球・バスケ選手なら契約交渉などを行う。選手によって顧客の層や販路が異なるため、メディア露出担当の部署やスポンサー獲得担当の部署など部門ごとに分解してマネジメントを担当させていただいている」と回答した、岩越さん。
特にアスリートに関しては、現役引退後のキャリア形成をサポートする重要な役割も担っているそうですが、世間で言われる「セカンドキャリア」について、岩越さんは「野球選手なら引退後に解説のお仕事などがあるが、私はアスリートのセカンドキャリアという言葉が好きではない。“セカンド”ではなく、単なる『転職』だと思っている」とコメント。新たな人生の選択について、これまでの経験を存分にいかすべきだと、次のように述べます。
「私は球団職員のときも、その年に引退する選手に話をしていたが、3つの『や』で始まる言葉で考えればいいのではと。それは、『やりたいこと、やれること、やるべきこと』。現実問題として、この3つが100点満点になる仕事は世の中にそんなにないかもしれないが、基本的には、野球選手であれば、今まで経験してきたこと、出会ってきた人、そこで得たものは、ほかの誰にも真似できないし、それをいかせるはず。『自分はスポーツしかやってこなかったんで……』『勉強できないし……』『社会に出るの無理……』と話す人もいるが、『いや、そうじゃない。そこは自信を持てよ』と言いたい。ほかの人より厳しい環境でたくましい経験をしてきたわけだから、やればいいんじゃないのと、そういう話しはしている。これはスポーツ選手だけが特別なのではなく、先輩や後輩、もともとの同級生に同じような相談をされたときには、まったく同じ話を私はする」（岩越さん）
「ビジネスだけでなくいろんなことでも一生懸命真剣にやっているとつらいこととか出てくる」と本音も明かした岩越さん。それでも、最近もMLB（メジャーリーグ）選手会のライセンスを持ったアメリカのエージェンシーとの提携交渉などを進めるなど、「あきらめない、あきらめたくない、信念をつらぬく」という思いで、今も精力的に活動されています。
岩越さんは今後の展望について「まず『日本のスポーツや文化に一石を投じる仕事がしたい』という軸があって、その一環として選手やタレントを自社で発信し続けるのもそうだが、単発ではなく仕組みを整えなければならない。そのためにも自社メディアで選手・タレントを発信するなど、そういうことを一つずつ完成していき、その先に未来が見えると思っている」と語っていました。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー！やってみよう！！』2023年8月28日放送回より
