神戸市とIT分野などで交流のあるウクライナ西部の都市、リビウ市からアンドリー・サドビー市長がこのほど神戸を訪れ、6日、神戸市の久元喜造市長を表敬訪問した。
両市長が実際に会うのは今回が初めて。5月に行われた両市長のオンライン会談で、久元市長がサドビー市長を招待、初顔合わせが実現した。
神戸市役所の大会議室を訪れたサドビー市長は、久元市長と固く握手。サドビー市長は「ご招待に心から感謝します。戦争はわれわれの人生のあらゆるものを変えたが、心の中の自由は変わらない」と力強く述べた後、リビウ市の現状について説明。現在リビウ市がウクライナ国内の大都市の中で最も安全な街で、占領された他地域から約15万人が移住、市立病院が約1万3000人の負傷者を受け入れ、国内最大の医療拠点になっていることなどを話した。
また、約4万人が義手や義足を必要としており、リビウ市内でそれらの製造工場を建てる計画があることを明らかにした上で、神戸の医療体制、医療産業の視察に意欲を示した。久元市長は「負傷し、手足を失った多くの人が義肢装具を求めていることを再認識した。神戸の医療産業都市でさまざまな施設をご覧いただけたら」と応じた。
さらにサドビー市長は、両市の人材交流についても提案した。
サドビー市長を団長とする一団は、7、8日に神戸国際展示場(神戸市中央区)で開催される産業見本市「国際フロンティア産業メッセ2023」に参加する。「産業メッセ」では、ウクライナのIT関係などにおける高い技術力を知ってもらうため、神戸市とウクライナ大使館が共同で「ウクライナ・パビリオン」を開設。ウクライナの企業12社のほか、リビウ市もブースを出展する。
久元市長は、「メッセへの出展がウクライナと日本の企業との間のビジネスマッチングにつながれば」と期待を寄せた。
ウクライナは、航空宇宙や機械工学などで優れた技術を持つ国で、とりわけ近年、IT分野で目覚ましく発展。神戸市は関連企業が集まるリビウ市と、経済や人材の交流について協議を重ねてきた。ロシアによる軍事侵攻後も、神戸市はオンラインによるビジネスセミナーの開催などで同国のIT産業のPRに協力。2022年5月にはウクライナのソフトウェア開発会社が神戸に日本法人を設置している。
サドビー市長は6日、葺合高校も訪問。その後市民向けの講演会で、ウクライナの現状などについて話した。7日は久元市長と、両市の連携・協力に関する意思確認書を交わす予定となっている。