兵庫県北部の但馬地域を舞台に多彩な演目が楽しめる『豊岡演劇祭2023』が、9月14日(木)〜24日(日)の期間で開催される。
フェスティバルディレクターを務める、劇作家・演出家 平田オリザさんのラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に同演劇祭プロデューサーの松岡大貴さんが出演。注目のプログラムや楽しみ方を語った。
『豊岡演劇祭』は2020年に始まった国際舞台芸術祭で、兵庫県豊岡市を中心とした但馬エリアで毎年9月中旬に開催される。城崎国際アートセンターや豊岡市民プラザ、豊岡市民会館などの劇場施設に加え、農村歌舞伎舞台や広場、教会や民家など、まちの至る所で演劇やパフォーマンスが行われる予定だ。
“夏の海水浴”と“冬のカニ”のボトムシーズンを狙ったところ、いまや観光振興に寄与するほどに宿泊客が増加し、本来ならば営業を停止している竹野浜の民宿にも依頼をかけるほどだ。『豊岡演劇祭』という名称もあり宿泊の問い合わせは豊岡観光協会に集中しがちだが、同演劇祭は但馬地域の9エリアで開催されるため、宿が見つからない場合は各地域の観光協会に問い合わせてみるのがおすすめだという。
今年のテーマは「うずまく、まくあけ」。フェスティバルディレクターを務める平田さんは、「『豊岡演劇祭』が持つ特長のひとつは“多様性”。観客、アーティスト、地域の人々には、作品との出会いだけでなく食や物産、風景との出会いを通じて新しい世界観に触れてほしい」と意気込んだ。
開幕を目前に控えたいま、演劇祭事務局はさまざまな対応に追われている。今年は過去最高数となる90以上ものプログラムを実施するだけでなく、公式プログラムとは別に有名無名を問わずさまざまなパフォーマーが参加する「フリンジ」にも200を超える応募があったため、現段階でチケットの売上枚数は過去最高を記録。早々に売り止めになった演目については、増設して再販売も行っている。
松岡さんは「公式プログラムに関しては、公共交通機関を利用して施設間を移動できる設計にしています。気になる演目がある場合は、遠く感じる場所であってもまずは演劇祭公式ホームページ内のアクセスページを見てみてください。臨時バスの情報や時刻なども掲載しています」と呼びかけた。
今年も全但バスが全面的に協力。モバイル1日乗車券やデジタルスタンプラリーを導入するほか、スタンプを貯めると「コウノトリ育むお米」のパックご飯をプレゼントするという試みも。「但馬の風景とともに移動も楽しんでもらえれば」と、松岡さんは語る。
演劇祭前半の目玉は、世界的ヴァイオリニスト・庄司紗矢香さんの演奏に平田オリザさんが言葉を紡いでいくという初めての試み『音楽と言葉の旅「ふるさと」』(豊岡市民会館 文化ホール)だ。