共同生活援助(グループホーム)とは、地域で共同生活を営むのに支障のない障害者に対し、主に夜間に共同生活の住居で相談や日常生活上の援助を行うサービスのことだ。これまでは社会福祉法人やNPO法人などが施設を運営していたが、2018年に法改正があり、民間の会社が参入。施設数が増加してきている。
グループホームの事業はその地域で雇用が生まれ、利用者が住むことによって人口が増加、空き家対策にもなるということで社会的意義が高い。神戸市北区にある株式会社スマイル・ライフは高齢者の訪問介護やデイサービスを手掛けていたが、そうした社会的意義に注目し、規制緩和を機に2019年からグループホームを開設。1年ごとに施設数を増やし、現在では3か所のグループホームを運営している。代表取締役の荒田裕彦さんに話を聞いた。
グループホームの利用者は平日に毎日仕事に行く人もいれば、週に一回だけ仕事に行く人もおり、人によってまちまち。「就労移行支援を目的とし、共同生活に慣れたあとに独立して一人で住む人や、結婚して出ていく人などがいます。このように巣立っていくことを目的とした施設です」と荒田さん。
グループホームで働く人は「世話人」と呼ばれ、利用者が心身ともに必要とする総合的なサポートをする。入浴や排せつ、食事の介助からコミュニケーションを取って相談相手になるなど多岐にわたる。24時間体制で夜勤も必要となることもあり、人材の確保が苦労するところだという。
「管理体制や人材教育、労務管理など会社としてしっかりやっていかないといけない。今のところは既存の社員の紹介などで人材の確保はできているが、これがずっと続くと限らないため採用強化や人材教育には投資が必要になってくる」と荒田さん。会社によってカラーの違いなどもあるため、それを分かってもらうのに一か月や二か月ではなかなか難しいのだという。
利用を検討している人は、各地域にある相談支援事業所に相談するほか、神戸市の場合は区役所のあんしんすこやか係に問い合わせると様々なグループホームを紹介してもらえる。そこで得た選択枝からニーズに合ったものを選ぶのだそう。
同社は現在3か所の施設を運営しており、今後5か所にまで増やす予定だという。荒田さんは最後に「まず入居されている方がここに帰ってきて、今までの家と同じようにホッとできる居心地のいい場所を目指しています。そこは崩さず、これからも事業に取り組んでいきます」と締めくくった。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年8月29日放送回より