「ニキ」「ネキ」という言葉を知っていますか? もともとネットスラングとして誕生した用語で、昨今若者達の間やネット以外の界隈でも多用されており、今年のZ世代の流行語ランキングにもランクインしたほど浸透しています。今回はそんな「ニキ」「ネキ」について紐解いていきます。
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誕生のきっかけとなったのは元阪神タイガースの金本知憲選手の呼び名から。現役時代、数々のヒットを打った金本選手を多くの人は「アニキ」と呼んでいたことから、“頼れる存在のアニキ”のことをネット界隈で「ニキ」と呼ぶように。一方、「ネキ」は女性版「ニキ」のことをあらわし、“頼れる存在のアネキ”を指します。
“頼れる存在”を意味する言葉のため、褒め言葉として使われるものなのだろう……と思った筆者ですが、調べてみると“皮肉”を込めて使われるていることも。知識をひけらかす人や「自称〇〇」など、根拠のない内容を自慢げに語る人に対し「ニキ」「ネキ」と呼ぶ場合もあるそうです。
このようなネットスラングは電子掲示板サイトが誕生した2000年頃から普及したといわれています。当時使われていたネットスラングの代表として「落ち着け」を意味する「もちつけ」や、インターネット上の掲示板へ書き込む行為を意味する「カキコ」、手を振る動作をあらわした「ノシ」などがそう。これらはネット黎明期であったかつて、ごく一部の限られた人のみが使用するに過ぎませんでした。
しかし、今や誰もが気軽にネットを使えるようになりSNSでのコミュニケーションを測れるようになった現代、状況は一変しました。女子高生からサラリーマンまで、ある程度のネットスラングが浸透しはじめたのです。
今回の「ニキ」「ネキ」に加え、「笑」の意味で浸透している「w」や女子高生を表す「JK」などネットスラングが一般的に使われるようになりました。そして驚くことに、対面でのコミュニケーションにおいて使用する人も続出。これまでネットスラングを現実世界で使用することはある意味御法度でしたが、昨今はその暗黙のルールも緩やかに解除されています。
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かつてはネット界隈でしか見ることのなかったネットスラングは、いまやリアルコミュニケーションでも使用されるようになりました。近年では感情・表情・抑揚など文字面以外の情報も付随され、新たな一般用語として浸透していくのかもしれません。
(文=弘松メイ)