ガラス瓶製造大手「日本山村硝子」(本社・兵庫県尼崎市)が独自に開発した製造技術に関する営業秘密を、中国企業に不正に持ち出したなどとして、兵庫県警は6日までに、不正競争防止法違反(営業秘密領得)容疑で同社で元社員の男(57・兵庫県芦屋市)と、その妻でコンサルティング会社役員の女(51・同)を逮捕、送検した。
2人は共謀し、2016年6月、中国などから日本山村硝子のサーバーにアクセスし、同社の営業秘密である瓶の軽量化技術に関するプログラムを、女の私用メールアドレスに送信して複製した疑いが持たれている。
妻はガラス製造技術に関連するコンサルタント会社を経営している。
兵庫県警によると、男は「覚えていない」、女は「犯罪に関わるようなことはしていない」と、いずれも容疑を否認しているという。男は当時、中国でガラスびん技術関連の営業や通訳に携わる同社社員だった。
妻の会社の口座には2016~21年、中国のガラスメーカーから中国元で計約1億8960万円相当の入金があり、兵庫県警は営業秘密を提供した報酬だった可能性があるとみている。
2022年6月、同社でしか製造できない超軽量ガラスびんを中国のメーカーが製造していることが判明し、社内調査のうえ同年11月に男を懲戒解雇処分とした。
同社は同社は国内のガラス瓶生産の業界シェアトップ。元社員の逮捕を受け、「営業秘密の管理体制を一層強化し、再発防止に向けて取り組む」とコメントした。