プロ野球・元阪神の関本賢太郎氏が、2日放送のラジオ番組にゲスト出演し、地元・奈良への思いや、プロ野球・奈良県人会についての話を語りました。
奈良県橿原市出身で、高校時代は名門・天理高校で甲子園にも出場し、1996年のドラフト2位で阪神に入団した、関本氏。
ラジオ番組の冒頭、番組パーソナリティーでフリーアナウンサーの田中大貴から、「奈良のプロ野球選手といえば、この方」と紹介されると、「奈良県人って、コンプレックスの塊やから、奈良出身ですと言われた時点で、ちょっと上から見られているような気がしているんです……」とコメント。この思いについて、奈良からみれば「関西でいうと、大阪には勝たれへんし、兵庫もすごい」という一方で、「京都と和歌山をすごくライバル視しているんです」と隣県への対抗意識は強いよう。「みんな奈良や和歌山に(観光に)行っても、結局、泊まるのは京都。もっと奈良に愛着を持って、奈良にも泊まってもらってほしいし、『奈良、もっとええとこあるで!』みたいな思いなんですよ」と、冒頭から観光大使さながらのアピールを展開していました。
一方、フジテレビアナウンサー時代から野球取材や実況を行う田中いわく、「奈良の人はみんな仲がいい。一体感がすごい。同じ高校や地元でなくても、奈良県というだけで、プロにいった人間だろうがアマチュアだろうが仲がいい」と、奈良の一体感はすごいそう。
その象徴となっているのが、「プロ野球・奈良県人会」です。DeNAの三浦大輔監督が名誉会長、関本氏が会長を務めるコミュニティーの結成秘話を、ラジオで関本氏が明かします。
「奈良県出身やけど、奈良から出て違う高校に行ったとか、三浦さんや僕のように奈良県育ちで奈良の高校からプロに入った選手が集まっています。だいたいプロ野球界は、大卒というところで一大派閥があるもの。たとえば慶應出身の選手が集まって球場で時々挨拶しあったり。でも、奈良県出身の選手は、あまりそういう大学からプロに入ることがなく、高校からそのままプロにいったら、誰にも挨拶できず、寂しい思いをしていたんです。ましてや、奈良県から違う高校に行ってとなると、なおさら。だから、奈良県出身という枠組で奈良県人会を作ろうということになったんです」
同会は年に1回、奈良で集まって、少年野球教室を開催。いろんなユニフォームの選手たちが集まり、奈良で野球に励む子どもたちに「ここで頑張れば、こんなプロ野球選手になれるよと、夢を見てもらえたらな」という思いで後進の育成にも励んでいます。その様子は、地元の奈良テレビでも放送されています。昨年末に行われた野球教室では、三浦監督と、現役からは阪神の島本浩也選手や小野寺暖選手、ヤクルトの大西広樹選手、DeNA(当時はヤクルト)の西浦直亨選手、オリックスの野口智哉選手、広島の松本竜也選手が参加し、子どもたちを指導していました。
「奈良県のなかでも、天理高校、智弁学園など強い高校もありますが、奈良県人会はそんなの一切関係なく、みんな平等なんです」という関本氏。特に、名誉会長を務める三浦監督については「奈良県出身を堂々と言ってくださるのでうれしい」と奈良が誇るレジェンドの存在は大きいようです。
ただし、上京した選手の“奈良愛”は気になるそうで、特に憂慮しているのは今年のWBC・侍ジャパンでも活躍した巨人の主砲・岡本和真選手のこと。「東京に行って長いので、奈良県の空気、色がちょっと薄まってへんかなと、心配になるんです。選手名鑑とかでも、奈良県出身というのが消えてくるんじゃないかと……」と危惧する一面も。
上京している選手たちに対しては、「職業なんで、就職という意味で東京のほうの球団にいくのは別にかまわないけど、『東京に行ったって、俺は奈良出身だ!』と誇りをもって生きている選手はぜひ来てくれ!」と県人会入りを呼びかけていました。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2023年10月2日放送回より