サッカー・Jリーグの地元クラブを応援する高齢者サポーターのエピソードを集めた「人生100年時代の物語大賞」授賞式が、9日、東京で行われ、ヴィッセル神戸サポーターに関する2つのエピソードが受賞しました。
「人生100年時代の物語大賞」は、健康関連事業を展開するサントリーウエルネス株式会社とJリーグが協働で進めている「Be supporters!」(「Beサポ!」)の活動の一環で行われたもの。このプロジェクトは、高齢者施設などで普段は“支えられる”場面の多いの高齢者や認知症の人たちが、地元サッカークラブのサポーターになることで、クラブや地域を“支える”存在になることを目指す取り組みです。
今回の「人生100年時代の物語大賞」では、全国の施設から応募された85のJリーグクラブを応援する高齢者サポーターの物語の中から、選考委員により5つの物語が選ばれました。そのうち、ヴィッセル神戸関連では、神戸市の高齢者施設オリンピア兵庫でのエピソードより、『107歳のサポーター』が【最高齢のメッセージ賞】、『スタジアムまでの散歩道』が【地域のつながり賞】を、それぞれ受賞しました。
『107歳のサポーター』は、「命尽きるときまでサッカーを楽しみなさい」と選手にエールを送った107歳のおばあちゃんサポーター・竹本繁野(たけもと・しげの)さんのお話。今年に入ってからはブラジル人選手を応援するためにポルトガル語にも挑戦したそう。ノエビアスタジアム神戸へ応援に行くのを楽しみにしつつも、108歳になる1週間前の今年2月に天国へと旅立ちましたが、その後、竹本さんのことを知ったヴィッセルのブラジル人DFマテウス・トゥーレル選手、FWジェアン・パトリッキ選手、GKフェリペ・メギオラーロ選手が、今年7月に施設をサプライズ訪問。おじいちゃん・おばあちゃんサポーターとの交流にもつながりました。
『スタジアムまでの散歩道』は、ヴィッセルの応援を始めてから、試合がある日も、ない日も、ノエビアスタジアム神戸まで散歩に出かける際に生まれた、施設の高齢者サポーターと、地域やクラブスタッフ、サポーターとのたくさんの出会いをつづったお話です。
「このたびは、このような賞を頂戴し誠に光栄に思います」とコメントを寄せたのは、高齢者総合福祉施設オリンピア兵庫のケアリーダー・稲田麻里さん。今回の受賞を受け、『107歳のサポーター』竹本さんのご家族と再会し、写真を一緒に見ながら一緒に過ごせた時間を振り返ったそうで、「繁野様がつないでくださったご家族、サポーター仲間、多くの縁をこれからも引き継いでいけたらと思っております」と述べていました。
授賞式に出席し、『107歳のサポーター』表彰の際に壇上に立ったオリンピア兵庫の職員・鍛冶亮太さんは、「日々のお手伝い、竹本さんとともに過ごした経験は特別なものであり、これからの財産になっています。人生は大変でつらいこともたくさんあると思いますが、竹本さんの言葉をお借りして、命尽きるときまでこの人生を楽しみたいと思います」と話しました。
また、稲田さんとともに『スタジアムまでの散歩道』の表彰を受けた同職員の園田明さんは「コロナなどで行動制限がかかり、普通に過ごすことが難しくなっていたなか、『Beサポ!』に参加したことで、施設全体がひとつのことに活動的に取り組めました。利用者の皆さんがすごく元気になり、 笑顔がたくさん出て、たくさん話すようになりました。みんなが元気になるきっかけをいただき、本当に感謝しています」と、感謝の思いをコメントしていました。