永瀬廉・杉咲花・北村匠海が演じる、法律を学ぶ同級生3人。その後、一人は弁護士になり、一人は容疑者になり、一人は死者となり、ミステリーが深まります。映画『法廷遊戯』が全国で公開されています。
☆☆☆☆
弁護士・検事・裁判官といった法律家になるため、司法試験合格を目指して学ぶ法科大学院=ロースクール。主人公は、名門・法都大学のロースクールに通う“セイギ”こと久我清義です。ある日、スクールの自習室にセイギの過去を暴くビラがばら撒かれました。ビラはセイギが16歳の頃、殺人未遂の疑いで逮捕されたことを暴露する内容でした。ビラには、セイギの当時の写真や事件を伝える新聞記事が載っています。セイギは児童養護施設出身で、いっしょに施設で育った織本美鈴を守るために、施設長を刺しました。その美鈴は今、セイギと同じロースクールの同級生です。
スクールではときどき、模擬裁判で日常のもめ事に決着をつける「無辜(むこ)ゲーム」が行われています。ゲームを主宰しているのはすでに司法試験に受かっている秀才・結城馨です。ビラの一件はセイギの名誉を毀損したとして、この模擬裁判ゲームにかけられます。ビラを撒いた加害者はスクールの男子学生で、セイギはゲームに勝ちますが、当時の写真や記事を加害者が誰から手に入れたのかは分かりませんでした。
2年後。セイギは司法試験に合格し、弁護士となっています。馨からセイギに連絡があり、久しぶりに無辜ゲームを開くことになりました。ゲームの会場を訪れたセイギは驚きます。そこには馨と美鈴がいました。馨の胸にはナイフが刺さっていて、血を流して死んでいます。
「はぁっ、馨!」
そこへフラフラと美鈴が近づいてきました。白いワンピースに返り血を浴びています。美鈴が言います。
「お願い、清義。私を弁護して」
凶器には美鈴の指紋がついていました。美鈴と馨が現場に入っていった目撃情報もありました。美鈴は殺人容疑で逮捕されますが、自分は馨を殺していない、無実だ、と主張しました。セイギは美鈴のために勤めていた弁護士事務所を辞め、この事件を調べることへ専念します。
こうした中、セイギは警察官だった馨の父親とかつて会っていたことに気づきます。一方、美鈴は事件の状況をはじめとして一切の供述を拒み、黙秘を貫きます。美鈴の罪を審理する裁判員裁判の初公判で、セイギは意外な方法で美鈴を弁護します。
「あの日、会場で何が起きたのか、これから明らかにします」
報道のため裁判を取材していた記者たちが騒ぎ出しました……。
原作は、作家で弁護士の五十嵐律人のミステリー小説。2020年にメフィスト賞を受賞しています。監督は『神様のカルテ』を撮った深川栄洋です。
裁判ゲームにからんで殺人事件に巻き込まれるロースクールの同級生を演じるキャストは、まず主人公の弁護士・セイギが永瀬廉(King & Prince)です。セイギの幼なじみで事件の容疑者・美鈴が杉咲花。裁判ゲームを主宰し、事件で殺される馨に北村匠海が扮しています。
永瀬は1999年生まれ、杉咲と北村は1997年生まれ。学年でいうと1つ違いの同世代で、別の作品で共演したこともあり、殺人事件の撮影であってもシーンの合間にふざけたり笑ったりする仲の良い現場だったそうです。