京都市上京区の千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう 別名・大報恩寺)で、大釜で炊き上げた大根を食し、無病息災を願う「大根(だいこ)だき」が7~8日の2日間振る舞われた。
関西で本格的に年の瀬を告げる冬の風物詩で、釈迦が悟りを開いた日を祝う法要「成道会(じょうどうえ)」にちなんだ伝統行事。
千本釈迦堂は真言宗智山派の古刹。本堂(国宝)は1227(安貞元)年創建時のままで、京洛最古の建築とされている。
千本釈迦堂では鎌倉時代、住職が大根に釈迦の名を梵字(ぼんじ)で書いて悪魔除けとしたのが始まりで、すべてに梵字を記し祈禱した大根を油揚げと共に直径約1メートルの大釜で煮込んだ約5千本分が、出汁によく染みた状態でもてなされた。
兵庫県姫路市から訪れた50代の女性は、「ここ数日、気温が高めで日中は過ごしやすいが、大根炊きの温かさに心が染みる。ご祈祷していただいた大根を食べられるのはありがたい」と話した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年(2022年)まで3年続けて中止となっていた大根炊き。訪れる人の数はコロナ禍前の6割ほどだという。菊入諒如(きくいり・りょうにょ)住職は「1年間無事に暮らせたことに感謝し、また来年も健康で過ごせるように願って食べていただき、良い年を迎えてほしい」と話した。