1年の世相を漢字1文字で表す「今年の漢字」、 2023年は『税(ゼイ・みつぎ)』と発表された。 12日午後2時すぎ、世界文化遺産・清水寺(京都市東山区)奥の院で森清範貫主(83)が巨大な色紙(京都府指定無形文化財・黒谷和紙)に揮毫(きごう)した。
公益財団法人・日本漢字能力検定協会(京都市東山区)が、日本全国からはがきやインターネットで全国から募った約14万7878通の中で、最も多い漢字1文字を選ぶ師走の風物詩。応募は11月1日(火)に始まり、WEB応募の締切は12月6日(水)、その他の応募は12月4日(月)まで受け付けた。
第1位の「税」は、5976 票(全体の4.04%)を集めて、2014年以来2度目の第1位。
主催する公益財団法人・漢字能力検定協会は、理由として大きく3つ挙げた。
◆1年を通して増「税」議論が活発に行われた ~増「税」への不安
防衛力強化に必要な財源をまかなうため、法人「税」、所得「税」、たばこ「税」の 3つについて、増「税」に 関する議論が行われた。賛否両論ある中、増「税」されるのではないかと多くの国民が不安に感じた。
◆ 所得「税」・住民「税」の『4 万円の定額減「税」』が話題に
過去 2 年間の「税」収増の還元として、岸田首相から、所得「税」と住民「税」の定額減「税」が実施されることが示された。あわせて行われる低所得者世帯への支援や所得制限の有無など、国民が関心を寄せる検討・議論が多くなされた。
◆インボイス制度やふるさと納「税」など、多岐に渡る「税」
インボイス制度や、ふるさと納「税」のルール厳格化、酒「税」改正、新NISAなど、今年は様々な「税」にまつわる改正や検討がなされ、「税」に関する様々な話題が続いた。
「税」を選んだ人の意見には、「物価高が続き、税収が過去最高額。軍備増強の財源も示されず増税は必至」という怒りの声もあり、岸田首相に対するあだ名「増税メガネ」という揶揄(やゆ)もあった。
生活に直結する増「税」・減「税」の動向が注目された1年、国民の不安や期待が交錯した2023年だったといえる。
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2位以降では、「戦」「争」が昨年(2023年)に引き続きランクイン。一方で、夏の平均気温が統計開始以来最高であったことによる「暑」「熱」や、プロ野球・阪神タイガースの38年ぶり日本一で「虎」が4位、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)やアメリカ大リーグ・大谷翔平選手の活躍などで「球」が5位、「翔」は11位、「侍」が19位に。
また、物価高を背景とする「高」が7位、「増」が9位に入るなど生活の厳しさを表す漢字も選ばれた。そして、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、日常が戻ってきたことを喜ぶ「楽」が10位、「明」が14位に入った。