大阪・関西万博の運営費が、当初想定していた809億円から351億円増加し、1160億円となる見通しになった。当初の約1.4倍となる。
資金計画の素案として、運営主体の日本国際博覧会協会が14日の理事会に提示した。次回理事会で意思決定される。
人件費の上昇などが理由で、今年(2023年)春には、こうした事態を踏まえて、博覧会協会内で精査していた。
1160億円のうち969億円は入場料収入で賄い、残りの191億円は施設利用料などを充てる。国や大阪府・市は、赤字になった場合の補てんはしないスタンスだ。
博覧会協会は2020年12月に基本計画を公表、この時点では運営費を809億円としていた。運営費には会場での警備対策費や、シャトルバスによる輸送費、会場集客のための広報宣伝費が含まれる。
さらに2022年に起きた韓国ソウル・梨泰院の雑踏事故や、安倍晋三元首相銃撃事件、岸田文雄首相襲撃事件を踏まえ、従来と比べてもハイレベルの警備体制が求められ、人件費と物価の上昇も影響した。
この運営費とは別に、政府は要人警護にかかる費用として約200億円を負担する見込み。
増加分の内訳は、▼人件費上昇によるものが+220億円、▼(経済などの)環境変化や計画変更によるものが+131億円。
関係者によると、運営費をめぐっては最大で約400億~500億円上乗せされ、約1.6倍に増加する可能性があるとの試算もあった。
しかし、2023年12月の資金計画では、入場料収入が702億円から969億円(+267億円)、マスコットキャラクター「ミャクミャク」のロイヤリティやライセンス料など、その他の収入が107億円から191億円(+84億円)に増加しており、博覧会協会の石毛博行事務総長は「万博への機運醸成が重要となる一方、経費を積み上げることは許されない。支出の削減、収入の拡大に努めた。電車・バス・航空機のラッピングやポスター・サイネージ(看板)の提供といった企業協賛が収入につながり、827億円が見込まれ、運営費の増加抑制(削減)に結びついた」と述べた。
また、博覧会協会の十倉雅和会長(経団連会長)は、「万博誘致が決まった2018年当時、日本はデフレの真っただ中で、人手不足への懸念も現在ほどではなかった。変化の激しい現在、想定していなかったことが多々あることは申し訳ないと思う。オリンピック・パラリンピックにも言えることだが、5~6年前から議論を続けている。世間一般の安全やセキュリティーに関するとらえ方にも大きな変化があった。費用の圧縮は重要。それとともにいかに収入を確実なものとするかを考えたい」と力を込めた。