プロ野球・オリックスOBの星野伸之氏が、現役時代に仰木彬監督から投手交代を命じられたときのエピソードをラジオ番組で明かしました。
星野氏は、同じくオリックスOBの藤井康雄氏、タレントの宮城弥生（オリックス宮城大弥投手の妹）とともに、ラジオ番組『としちゃん・大貴のええやんカー！やってみよう！！』（ラジオ関西）にゲスト出演。3週連続出演の1回目となった18日の放送では、オリックス最初の黄金期を担った星野氏と藤井氏が、「仰木マジック」と称された仰木監督の選手起用法を回顧。普段は温厚な2人が当時の率直な思いを語り合うなか、星野氏から秘話も飛び出しました。
――今年のオリックスはどうでしたか。その前の連覇 （1995年・96年）のときとまた違った勝ち方ですか。
【藤井】 次から次へと、いい選手、若い選手が出てくるので、これからもまた強くなるんじゃないかという予感がするぐらいの強さがありますね。僕らのときはある程度、固定されていた。中心にイチローがいて、ピッチャーは星野がいて、というところでの安定感というのかな。
【星野】 （名前を）無理矢理いれてくれました（笑）。
【藤井】 エースですから（笑）。10年以上連続の10勝以上（※1987年阪急時代から1997年まで11年連続で二桁勝利を記録）はすごいですよ。まさにチームの柱。彼を含めた、そういう安定した強さというのは（優勝した1995年と96年の）2年間でもありました。
――当時の仰木監督やコーチ陣の采配がよかった？
【藤井】 そこも大きいでしょうね。（監督の）仰木さんは、よく「仰木マジック」と言われましたよね。対戦ピッチャーに対して「このバッターが合う」とか（打線をよく組み替えた）。僕も当時、レギュラーをはっていたので、最初の頃は頭にきていたんですよ。「なんで調子がいいのに（メンバーから）抜かれるんだ？ そのピッチャーなら今だったら打てるだろう」という気持ちでいました。ただ、それ（日替わりオーダー）がことごとくうまくハマっていくので、勝つことによって納得せざるを得ないなというような感じでした。
【星野】 いや、結構文句を言ってましたよ（笑）。藤井さんが文句を言うって、なかなかないんですが。
【藤井】 例えば、前日ホームランを2本打っても、次の日のゲームで外されたりしますから。そういう悔しさというのはありましたね。
【星野】 俺は仰木さんのとき、1回だけキレたのは、「4回3分の2」（※あと1アウトで勝ち投手の権利があったなかでの交代）。まだ4点差だったんだよ！ （1997年7月20日の）日本ハム戦で、このとき（次の打者）は落合（博満）さんだったの。その手前が片岡（篤史）。片岡のときに1回、ピッチングコーチが（マウンドに）来て「ちょっとヤマが来たから頑張れ」と言われたんです。
それで、片岡はレフトライナーだったので、「よしよし、2アウトや！ ランナー1、2塁だ」と思っていたら、もう（コーチがベンチから）出てきた……。2回目に（マウンドに）来たらもう無条件で交代。だから、俺はもう頭にきて、そのまま（マウンドを）降りていった。
マウンドを降りてもしゃべらずで、そのときにグラブを投げたのね。それがベンチの中に転がっていったわけ。でも、一応、大事なものだからそのグラブを拾ったら、今の中嶋（聡）監督（当時はチームメイト）に「星野さん、あそこは拾わないで帰ってください。僕が持って行ったのに……」と言われて（笑）。「そうか……」と。自分で腹が立ったから投げたけど、一応さ、大事な道具だから……。投げた瞬間にスッキリしちゃったんだよね。
【藤井】 本当は怒ってなかったんじゃないの？（笑）
【星野】 怒ってましたよ！ 怒ってはいるけど、どうしようもない。2回目だから、もう100パーセント替わるのはわかるので。
【藤井】 ただね、自分たちが指導者になって、そういう監督、コーチの気持ちというのは、逆にわかるようになってきました。
【星野】 あそこで落合さんじゃなかったら、たぶん（替えられなかった）。俺がそれまで落合さんに打たれすぎでした。でも、結局、チーム（の最終スコア）は14点くらい入ったので、「くそー！」と思っていましたね（笑）。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー！やってみよう！！』2023年12月18日放送回より
