阪神・淡路大震災から29年を迎えた17日正午、神戸市街地が見渡せる摩耶山天上寺(神戸市灘区)で追悼の鐘が鳴らされた。
天上寺では毎年1月17日、本尊・十一面観音の新年最初の縁日として「初観音」の法要が営まれている。
震災翌年の1996年からは、世界各地の自然災害の犠牲者に捧げる供養として鐘が鳴らされるようになった。参列者は鐘をそれぞれ1回ずつ鳴らし、29年前の震災を思い出した。
兵庫県加古川市の50代の男性は、神戸市内の親類が被災したが、自身は東京都内にいたため、すぐに駆け付けることができなかった。「追悼の鐘が神戸のみならず、いまだに余震が続く能登半島に届くよう、思いを込めた。これから神戸の東遊園地へ行き、ろうそくを灯して、神戸のみならず能登で犠牲になられた方々の冥福を祈りたい」と話した。
天上寺の伊藤浄真・副貫主は「能登半島地震での倒壊、地割れ、断水、そして寒さ。29年前の阪神・淡路大震災でも同じ悲しみや辛さを経験したことを思い出した。あれから29年間、復興に向けて歩み続ける神戸の皆さんに敬意を払うとともに、その大きな力を込めて、能登の皆さんへ祈りを捧げたい」と参拝者に語りかけた。